名義預金とみなされやすいケースとは
目次
亡くなった被相続人のすべてのプラスの財産とマイナスの財産を合計して、基礎控除額を上回る場合には、相続税申告が必要です。(相続税については、第43回「【相続税の基礎知識】税金のかからない範囲や計算方法は?」で詳しく解説しています。)
被相続人が子どもや孫などの名義で貯金しているケースでは、いわゆる名義預金として、相続財産に含まれる可能性があるため、注意が必要です。
今回は名義預金とみなされやすいケースを押さえたうえで、名義預金に時効がない理由や、税務調査で発覚した場合のペナルティについても触れていきます。
■そもそも「名義預金」とは?
名義預金とは、実際のお金の所有者と名義が異なる預金を指します。たとえば、祖父母が孫名義の口座をつくって預金しているケースは、名義預金に該当する可能性があります。ただし、名義預金は法律上の用語ではありません。
実際のお金の所有者が亡くなったときには、名義預金は名義人に贈与した財産とはみなされず、相続財産に含まれるという点に注意が必要です。
■名義預金とみなされやすいケース
名義預金とみなされやすい代表的なケースを挙げていきます。
・預金の財源が被相続人のケース
預金の財源を本人以外が出しているケースは、名義預金と判断される可能性があります。
特に、専業主婦(夫)や未成年の子どもなどで、収入がさほどないにも関わらず、自分の名義で多額の預金をしているケースは注意が必要です。専業主婦(夫)が配偶者の収入からへそくりを貯めているケースも、名義預金とみなされる可能性があります。
・名義人が預金の存在を知らないケース
被相続人が名義人に預金口座を開設したことを知らせずに預金していたケースは、名義預金と判断される可能性があります。たとえば、子どもが幼少の頃に口座を開設して、○歳になったら知らせるつもりでいる場合も同様です。
・被相続人が通帳などを管理しているケース
被相続人が通帳やキャッシュカード、銀行印などを管理し、名義人は自由に口座からお金の出し入れができないケースは、名義預金とみなされる可能性が高いです。贈与した財産は贈与を受けた受贈者が管理し、自由に利用できるのが基本です。
また、祖父母と孫、親と子などが同じ苗字の場合には、祖父母や親が自分の銀行印で口座を作るケースがありますが、祖父母や親の名義預金とみなされるリスクがあります。
・名義人に贈与を受けた認識がないケース
名義人に贈与を受けた認識がある場合には、生前贈与として扱われます。一方で、名義人に贈与を受けた認識がなければ、名義預金とみなされる可能性があります。
たとえば、親が子どもの名義で預金しているケースで、親側は贈与した認識があっても、子は贈与を受けた認識がない場合には、贈与契約が成立していないため、名義預金とみなされることが考えられます。
■名義預金には時効がない
贈与税の時効は通常6年、悪質だと判断された場合は7年です。また、相続税の時効は通常5年、悪質な場合は7年です。
しかし、名義預金には時効という概念が存在しません。民法549条では、贈与は以下のように規定されています。
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
引用:e-GOV|民法
つまり、贈与契約は、贈与者が贈与の意思表示をし、受贈者が受諾すると成立します。名義預金は贈与契約が成立していないため、時効がないのです。そのため、名義預金に関しては、何年経てば税務調査の心配がなくなって安心ということはありません。
■税務調査で名義預金が発覚した場合のペナルティ
相続税の税務調査で名義預金の存在について指摘を受けると、申告漏れの財産に対して追徴課税が課されます。

追加で納める税金に対して、隠ぺいの意図がない場合には過少申告加算税と無申告加算税のいずれかが課されます。名義預金は隠ぺいの意図があったとみなされ、これらに代えて税率の高い重加算税が課される可能性があります。
さらに、追徴課税額を納めるまで延滞税が発生することから、本来納付するべき税金を納める時期が後になるほど、税金が膨らんでしまうのです。
名義預金は多額の税負担を招く可能性があるため、贈与契約を結び、贈与税の基礎控除額を超える場合には適正に申告を行うことが望ましいといえます。また、贈与税の非課税制度を上手に活用するのが得策です。(第70回「贈与税がかからないケースとは?非課税制度等のまとめ」で解説しています。)
名義預金の心配がある場合は、別途お気軽にご相談ください。

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