遺産を寄付した場合に税金はどうなる?
目次
自分の死後に遺産を社会貢献活動に活かしたい場合には、国や地方公共団体、公益法人などに遺産を寄付するという選択肢があります。亡くなった後の寄付であれば、多額の寄付が可能となることも考えられます。
今回は遺産を寄付した場合の相続税などの税金について、遺贈寄付と相続した財産を寄付する場合に分けて解説したうえで、注意点についても触れていきます。
■遺贈寄付の場合の税金
そもそも遺贈とは、遺言によって遺産の全部、または一部を法定相続人以外の第三者に譲与することをいいます。
これに対して遺贈寄付は、遺産の全部または一部を公益社団法人や学校法人、地方公共団体といった公益的な活動をする団体への譲与を通じて、活動を支えるという違いがあります。遺贈寄付も、被相続人(故人)が生前に遺言書を作成する方法が一般的です。
遺贈寄付を行った場合の相続税をみていくと、相続税は個人に対する税金のため、国や地方公共団体、法人への寄付額には課税されません。そのため、国や地方公共団体、法人へ遺贈寄付を行った場合には、法定相続人は寄付額を控除して相続税を計算できます。
ただし、株式会社や合同会社などへの寄付には、受遺者である法人に法人税が課税されます。同族会社への遺贈寄付によって、株式や出資の価額が増加した場合には、他の株主への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。
また、国や地方公共団体、公益社団法人や公益財団法人、社会福祉法人、学校法人、認定NPO法人などの特定の公益法人へ遺贈寄付を行った場合には、被相続人の生前の所得に関わる「準確定申告」を行う際に、寄付金控除の適用を受けられます。
(寄附金控除については第7回「学校や認定NPOなどへの寄附で知っておきたい!寄附金控除とは」、準確定申告については第45回「亡くなった人に関わる準確定申告とは?」にて詳しく解説しています。)
参照:国税庁|No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
■相続して寄付する場合の税金
相続人が被相続人の遺産を相続した後に寄付する場合には、原則として寄付額を含めて相続税の課税対象となります。相続人の意思で遺産を寄付するケースのほか、エンディングノートに記載されていた被相続人の寄付の意向を尊重して寄付を行うケースなども該当します。
ただし、被相続人が亡くなったことを知ってから10ヶ月以内の相続税の申告期限までに、国や地方公共団体、特定の公益法人へ寄付した場合には、遺産から寄付額を控除して相続税を計算することができます。
また、相続人が寄付したことになるため、相続人が所得税の確定申告で寄付金控除の適用を受けることが可能です。
■遺贈寄付の注意点
遺贈寄付に関する主な注意点として、次の3点があります。
・遺留分に配慮する
遺留分を考慮せずに、「自己の全財産を△△に寄付する」といった遺言書を残すと、法定相続人と受遺者の間で、遺留分を巡ってトラブルが起きる可能性があります。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証されている遺産の取得割合です。たとえば、配偶者と子ども2人が法定相続人のケースの遺留分は、配偶者が1/4、子どもは1/8ずつです。
被相続人が遺留分を考慮しない遺言を残した場合には、法定相続人は遺留分を放棄するか、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求」という調停を起こすといった対応をとることになります。こうしたトラブルを避けるためには、遺贈寄付を行う場合には、遺留分について配慮した遺言を残すのが基本です。
・寄付先の団体に事前に確認しておく
寄付を行う相手側の団体が無条件で受け入れるとは限りません。たとえば、「不動産は受け入れない」「遺贈する遺産の割合のみを指定する遺贈を受け入れない」といった方針をとっていることも考えられるためです。
不動産を遺贈寄付すると、売却や管理のための手間やコストが発生します。包括遺贈では、受遺者も遺産分割協議に参加する必要があり、マイナスの遺産も受け継ぐことになります。そのため、遺贈寄付には特定の遺産を指定する特定遺贈の方が向いています。
遺贈寄付を行う際には、遺言書を作成する前に事前に寄付先の団体に相談しておくことが大切です。
・みなし譲渡所得税が課税される可能性がある。
不動産や株式を法人に遺贈する場合には、遺贈があった時点で譲渡されたとみなされます。そのため、売却しなくても、取得時よりも価格が上がっていて含み益がある場合には、譲渡所得税が課税される可能性がある点にも注意が必要です。譲渡所得税を負担するのは、受遺者である法人ではなく法定相続人になります。
ただし、国税庁長官の承認によって、公益法人などへの寄付した場合の譲渡所得税が非課税となる制度が設けられています。
参照/国税庁|公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし
遺贈寄付は社会貢献性があり、相続税や所得税の控除が受けられる可能性もあります。
ただし、税金の控除の適用を受けられるかは寄付先の種類によって異なり、特に不動産や株式を寄付する場合にはやや複雑です。ご自身やご家族が遺贈寄付を検討されている場合には、別途お気軽にご相談ください。

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