外国人旅行者向け免税制度の見直しによる「リファンド方式」とは
目次
JNTO(日本政府観光局)が公表するデータによると、2024年の訪日外客数は3,687万人で、コロナ禍前の2019年を上回り、過去最高となりました。また、観光庁の資料によると、2024年のインバウンド消費(訪日外国人旅行消費額)は8兆1,257億円にも上ると推計されています。
今後も訪日外国人旅行者の増加が見込まれるなか、令和7年度税制改正では外国人旅行者向け免税制度の見直しが行われました。
今回は、現行の外国人向け免税制度の仕組みや見直しが行われる背景について触れたうえで、2026年11月から導入されるリファンド方式や免税販売要件の変更について解説していきます。
出典:
JNTO(日本政府観光局)|日本の観光統計データ|訪日外客数の推移
■現行の外国人向け免税制度の仕組み
外国人旅行者向け免税制度とは、管轄の税務署長の許可を受けた輸出物品販売場(免税店)において、外国人旅行者が国外へ持ち帰る目的で免税対象物品を一定の方法で購入する場合に、消費税が免除される制度です。

引用:財務省・国税庁・経済産業省・観光庁|外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)について
現行の外国人旅行者向け免税制度の仕組みを見ていくと、免税店では外国人旅行者(免税購入対象者)からパスポートなどの提示を受け、免税対象物品を免税価格で販売します。免税店は、国税庁の免税販売管理システムへの購入記録情報の提供が必要です。そして、出国時に税関で外国人旅行者(免税購入対象者)がパスポートなどを提示し、購入記録情報と免税購入品の照合が行われるという流れです。
国内で譲渡した場合など、免税購入品が国外へ持ち出されない場合には、消費税が徴収されます。
しかし、実際には免税購入品が国内で横流しされる不正が多発しています。出国時に税関の検査を逃れているケースが多いことが理由として挙げられます。また、出国時に免税で購入した商品を所持していないことが発覚しても、納税資金を持っていないことから、大半が滞納したまま出国しているのです。
こうした現状から、外国人旅行者向け免税制度が見直されることになりました。
(参照)
財務省・国税庁・経済産業省・観光庁|外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)について
■見直しにより導入される「リファンド方式」とは
令和7年度税制改正による外国人旅行者向け免税制度の見直しでは、2026年11月からリファンド制度が導入されることになりました。リファンド方式では、免税店は外国人旅行者(免税購入対象者)に消費税込みの価格で免税対象物品を販売し、出国時に持ち出しが確認された後、消費税相当額を返金する方法をとります。

引用:国税庁|【令和7年度税制改正リーフレット】「輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します」
具体的に流れを見ていくと、免税店で外国人旅行者はパスポートなどを提示して、消費税込みの価格で免税対象物品を購入します。免税店が国税庁の免税販売管理システムに購入記録情報を提供する点は同様です。
外国人旅行者(免税購入対象者)が消費税の免除の適用を受けるには、購入から90日以内の出国時に税関でパスポートなどを提示し、持ち出しの確認や検査を受ける必要があります。税関では購入記録情報と照合し、確認結果を登録します。そして、免税店が税関確認情報を保存すると免税が成立し、外国人旅行者(免税購入対象者)に消費税相当額が返金されます。
リファンド方式の導入によって、国内での商品の横流しといった不正利用の排除につながることが期待されています。
■免税販売要件も見直し
令和7年度税制改正では、リファンド方式への移行とともに免税販売要件の見直しも行われます。
<現行制度>

<見直し後>

現行制度では、免税対象物品は一般物品と消耗品に区分されていましたが、区分が廃止されます。区分ごとに分けられていた免税対象額の要件は5,000円以上となり、上限が撤廃されます。
また、免税対象物品は通常の生活の用に供するものに限られていましたが、用途が問われなくなります。一方で、消費税が非課税とされる物品のほか、金及び白金の地金と金貨及び白金貨は、免税対象物品に含まれません。
現行制度では、化粧品や食品などの消耗品で義務付けられていた、特殊包装が不要となったことも大きな変更です。袋による包装はプラスチック製、箱による包装は段ボール製または発泡スチロール製で、出国までに破損しない強度が求められ、開封したことがわかるシールで封印する必要がありました。
販売要件の見直しにより、免税店では通常生活の用に供するものであるか判断することが求められなくなります。また、消耗品の特殊包装の廃止により、作業負担が軽減されます。
参照:
国税庁|【令和7年度税制改正リーフレット】「輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します」
令和7年度税制改正によって、外国人旅行者向けの免税制度は免税店側に負担をかけずに、適正に運用されることが見込まれています。

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