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青色申告の損失の繰越・繰戻しとは?個人事業主と法人の違い

目次

個人事業主は1月~12月の1年、法人は事業年度ごとに所得税、あるいは法人税などの税金を計算します。しかし、年度ごとに所得に応じた税負担となっていても、大きな赤字となった翌年度が黒字となって税金の負担が重くのしかかると、資金面で苦しくなることが考えられます。

そこで個人事業主も法人も、青色申告を行っている場合には、損失を翌年度以降に繰り越しする制度や前年度に繰戻しする制度が設けられています。

今回は青色申告の損失の繰越・繰戻し制度に関して、個人事業主と法人のそれぞれについて解説していきます。

青色申告で損失が出た場合は繰越控除・繰戻し還付が可能

個人事業主も法人も青色申告を行っている場合は、赤字となった年度があった場合に、一定の条件を満たすと、他の年度の黒字と相殺できる2つの制度があります。

1つ目の繰越控除は、赤字の年度の翌年以降の一定の範囲の年度の黒字と相殺する制度です。黒字の年度の課税所得が減るため、個人事業主は所得税や住民税、個人事業税、国民健康保険料、法人は法人税や法人住民税、法人事業税の節税効果があります。ただし、赤字の年度が続いた場合には、節税効果を得ることができません。

2つ目の繰戻し還付は、赤字の年度の前年度が黒字であった場合に、税金を再計算して還付する制度です。繰戻し還付は既に支払った税金の一部が戻ってきます。

ただし、繰戻し還付の対象となるのは国税のみのため、個人事業主は所得税、法人は法人税のみが対象です。個人事業主の住民税や個人事業税、法人の法人住民税や法人事業税は、翌年度以降が黒字の場合は繰越控除の適用を受けられます。

また、繰戻し還付を利用すると、税務調査が行われる可能性がある点に留意が必要です。

【個人事業主】青色申告の繰越控除

青色申告を行う個人事業主は、事業所得などが赤字となり、他の所得との損益通算を行っても控除しきれない損失額が残った場合に、翌年以降最大で3年間にわたって各年の所得金額から繰り越して控除する繰越控除の適用を受けられます。

たとえば、個人事業主として起業した年に事業所得は200万円の損失となり、給与所得100万円を得ているケースでは、繰越控除が適用されるのは100万円です。

(損益通算について詳しくは、第49回「損益通算できる所得・できない所得とは」をご参照ください。)

◎計算例

・2020年に事業所得で200万円の損失が発生(他の所得はなし)

・翌年以降の合計所得金額は2021年50万円、2022年100万円、2023年200万円

2021年:50万円-200万円=-150万円 合計所得金額0円

2022年:100万円-150万円=-50万円 合計所得金額0円

2023年:200万円-50万円=150万円 合計所得金額150万円

この例では、2020年の事業所得の損失額を2021年の所得金額から控除しても引き切れない分が2022年度に繰り越され、同様に2022年度の所得金額から引き切れない分が2023年度に繰り越しされます。

繰越控除期間には例外があり、特定非常災害の指定を受けた災害によって損失が生じた場合は最大で5年間となります。

参照:国税庁|No.2070 青色申告制度

【法人】青色申告の繰越控除

法人の繰越控除は、青色申告を行った年度が赤字になった場合に、翌年度以降最大10年間にわたって、各年度の課税所得から税務上の赤字である欠損金を繰り越して控除することができます。ただし、2018年4月1日前に開始した事業年度で生じた欠損金の繰越控除期間は9年です。

10年以内に赤字となった事業年度が複数ある場合には、古い事業年度のものから控除します。

また、資本金・出資金が1億円以下の企業の中小企業は欠損金を全額控除できますが、それ以外の大企業や100%子会社などは控除限度額が設けられています。2018年4月1日以降に開始した事業年度の控除限度額は欠損金の50%です。

参照:国税庁|No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

【個人事業主】青色申告の繰戻し還付

前年も青色申告をしている個人事業主は、所得が赤字となった年に繰越控除に代えて、前年に損失を繰り戻して、前年分の所得税の還付を受ける繰戻し還付を選択することも可能です。

繰戻し還付を受ける場合は、前年分の所得税額から、前年分の所得金額から今年の損失額を引いて再計算した所得税額の差額が還付されます。確定申告の際に、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」の提出が必要です。

【法人】青色申告の繰戻し還付

青色申告を行う法人も、欠損金が生じた事業年度の前年度に欠損金の繰戻しにより、法人税の還付を受けることも選択できます。欠損金の繰戻しによる還付を受ける場合には、確定申告書とともに「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出します。

ただし、2022年4月1日~2024年3月31日までの間に終了する事業年度では、中小企業以外の法人は繰戻し還付の利用が停止されていました。

<法人税の還付額の計算式>

法人税の還付額=還付所得事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額※/還付所得事業年度の所得金額

※還付所得事業年度の所得金額を限度

前年度に納付した法人税額をもとに、前年度の所得金額に対する今年度の欠損金額の割合に応じて還付されます。

◎計算例

・前年度の法人税:120万円、前年度の所得金額:800万円

・今年度の欠損金額:200万円

120万円×200万円/800万円=30万円 還付額30万円

参照:国税庁|No.5763 欠損金の繰戻しによる還付

資金繰りに困っていない場合で、翌年度以降に黒字となる可能性があるケースでは、基本的に繰越控除を選択します。確定申告・決算で赤字が見込まれる場合に、繰越控除・繰戻し還付について、何か疑問点などがございましたら、お気軽にご相談ください。

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