個人事業主が必要経費にできる範囲とは
目次
2025年4月の初旬に、プロ野球の巨人・坂本勇人選手が東京国税局の税務調査を受け、約2億4,000万円の申告漏れを指摘されたと報じられました。報道によると、同僚との料亭やクラブでの飲食代などが、必要経費として認められなかったことによるものです。
そこで、今回は改めて個人事業主が必要経費として認められる費用の判断基準について解説し、必要経費として認められるもの・認められないものについて取り上げていきます。
■必要経費に該当するものの判断基準
国税庁のホームページでは、事業所得などの必要経費として参入できるのは、次の2つとされています。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
必要経費として参入できるかは、「事業に関連した出費」であるかという点が判断基準となります。
必要経費として算入できる金額や売上に占める割合に関して、上限は設けられていません。ただし、売上に対して経費の割合が高すぎる場合には、税務調査の対象となる可能性がある点に注意が必要です。
■個人事業主が必要経費にできるもの
個人事業主が必要経費にできるものについて、記帳に用いられる主な勘定科目ごとに例を挙げていきます。

自宅兼事務所の場合など、事業とプライベートの双方で使用している支出は、一定の割合で事業用部分を算出する家事按分を行う必要があります。自宅を所有している場合の固定資産税や借りている場合の家賃のほか、水道代や電気代、ガス代などが該当します。また、携帯電話や自動車を事業とプライベートで使用している場合も同様です。
たとえば、固定資産税や家賃は、床面積に対する事業用として使用する割合で按分するのが一般的です。電気代やガス代といった水道光熱費は面積の割合に加えて、使用時間も考慮して算出します。
【例】自宅兼事務所/専有面積:40平米、事業に使用している面積:10平米、家賃10万円
10平米÷40平米=0.25(%)
10万円×0.25=2万5,000円
⇒家賃10万円のうち、必要経費として計上できるのは2万5,000円
■個人事業主が必要経費にできないもの
個人事業主は事業に関連のない個人的な支出は必要経費にすることはできません。必要経費にできないものの例を挙げていきます。
・個人事業主個人の税金
個人事業主の所得税や住民税といった個人の税金は必要経費として計上できません。
・趣味や娯楽のための書籍代、セミナー費用
事業に関連性のない趣味や娯楽のための書籍代やセミナー費用は必要経費に算入できません。たとえば、英語学習のための書籍代や講習費用を必要経費として認められるのは、業務の遂行上必要と認められる場合のみです。自己啓発目的の場合は必要経費に該当しません。
・私的な飲食費
家族や友人などとのプライベートの飲食費は必要経費に含めることはできません。
・個人事業主や家族の福利厚生関連費用
個人事業主が1人で事業を営んでいるケースや家族のみを雇っているケースでは、福利厚生費を計上することはできません。家族以外の従業員を雇用している場合は、個人事業主本人や家族の分を含めて、社員旅行や懇親会費を必要経費として計上できます。
ただし、従業員を雇用している場合も、個人事業主本人や家族の健康診断費は必要経費に算入できません。
・生計を一にする家族への給与
生計を一にする家族への給与は、原則として経費算入できません。ただし、青色申告をしている個人事業主は、事前に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、計上が可能となります。
参照:国税庁|A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続
・借入金の返済金
事業のために借入をしている場合も、必要経費に算入できるのは利息のみです。返済金のうち元本は必要経費に含めることはできません。
個人事業主が必要経費として計上できるのは、事業に関連のある支出に限られています。必要経費として認められるか判断に迷う支出がありましたら、お気軽にご相談ください。

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