法人化による税金のメリット・デメリットとは?
目次
個人事業主は法人化することで社会的に信用がアップし、売上規模によっては節税につながるなど税金面のメリットもあります。しかし、一方でデメリットもある点を踏まえておくことが大切です。
法人化を検討している個人事業主の方に向けて、法人化によるメリット・デメリットを主に税金の面から解説していきます。
■メリット1:役員報酬に給与所得控除が適用される
個人事業主は、売上から必要経費を引いた事業所得に対して所得税が課税されます。個人事業主本人には給与という概念はありません。
法人化すると、売上から必要経費を引いたものが法人の所得となり、法人税が課税されます。ただし、一定の要件を満たしていれば、役員報酬を必要経費に算入が可能です。役員報酬には個人としての所得税が課税されますが、給与所得控除の適用を受けられる
ことがメリットです。
<給与所得控除額>

個人事業主も青色申告を行うと、最大で65万円の青色申告特別控除の適用を受けられますが、給与所得控除は給与収入が上がるほど控除額が増えていくのが特徴です。
<所得税の税率>

<法人税の税率/資本金1億円以下の普通法人>

また、所得税には超過累進税率が適用されています。所得税と法人税の税率の差から、所得が多い人は法人化して法人税を納める方が税金が有利になることがあります。
(所得税の累進課税制度については、第64回「所得税の累進課税制度の仕組みとは」で詳しく紹介しています。)
■メリット2;退職金を損金に計上できる
個人事業主は、本人の退職金を必要経費に入れることができません。これに対して、法人は経営者本人に退職金を支給して必要経費に算入することが可能です。
<退職所得控除額>

引用:国税庁|退職金と税
退職金による収入には退職所得控除が適用され、退職所得となります。また、所得税は超過累進税率が適用されていますが、退職所得は給与所得などの他の所得と分離して所得税が課税されることから、税率の面でも有利です。
■メリット3:赤字を10年繰り越すことができる
個人事業主は青色申告を行うと、事業所得などが赤字になった場合に、損益通算をしても控除しきれない場合には、損失を3年繰り越すことができます。つまり、翌年以降が黒字となった場合に、控除しきれるまで最大で3年間赤字の残りを相殺することが可能です。(損益通算については、第49回「損益通算できる所得・できない所得とは」で詳しく解説しています。)
一方、法人は赤字になった場合に、最大で10年間、損失を繰り越すことができます。そのため、大きな損失が出てしまった場合にも、翌年以降に黒字の年があれば、繰越控除による節税効果を活かしやすくなります。
参照:国税庁|No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
■メリット4:経費にできる範囲が広い
法人は個人よりも経費にできる範囲が広がることもメリットに挙げられます。
個人事業主も事業に関わる交通費や宿泊費を必要経費にすることができますが、法人の場合は社内規定を設けて、出張手当を支給して必要経費にすることが可能です。
法人は役員社宅に関する社内規定を設けて代表に貸付を行い、家賃の50%程度を会社負担とすることもできます。
また、法人で契約して生命保険に加入すると、一定の要件を満たす場合には保険料の一部を必要経費にできます。
■メリット5:決算月を自由に決められる
個人事業主は事業年度が1月~12月と決められ、翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。
一方、法人は事業年度の始まりや終了月となる決算月を自由に決められます。そのため、繁忙期を避けるなど事業の都合に合わせることが可能です。
■デメリット1:赤字でも法人住民税が発生する
法人が支払う税金は法人税と法人住民税、法人事業税、消費税です。このうち、法人住民税は赤字でも負担が発生することがデメリットに挙げられます。
法人住民税には都道府県民税と市町村民税があり、それぞれ均等割と所得割によって構成されています。赤字でも負担が発生するのは均等割です。
法人住民税の均等割の税額は、資本金や従業員数によって異なりますが、最低でも7万円の負担が発生します。
(法人が支払う税金については、第65回「法人化するとかかる税金とは?節税対策になる?」、法人住民税については、第67回「赤字決算でも納付が必要!?法人住民税とは」で詳しく解説しています。)
参照:総務省|法人住民税
■デメリット2:社会保険への加入義務がある
個人事業主は原則として従業員を5名以上雇うと、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の強制適用事業所となり、加入が義務付けられます。
これに対して、法人は経営者のみであっても社会保険の強制適用事業所となります。従業員を抱えていれば、社会保険料の事業主負担分を支払う負担が重く、事務手続きも煩雑になることがデメリットです。
■デメリット3:税理士費用がアップする
個人事業主は自分で確定申告を行うこともできます。一方、法人は自力で決算を行うのはハードルが高いことから、個人事業主として自分で確定申告を行っていても、税理士への委託を検討する必要があります。
また、小規模な事業を営んでいる場合も、個人事業主よりも法人の方が税理士報酬が高めに設定されているのが一般的です。
法人化によるメリット・デメリットを解説してきましたが、法人化によって税金が有利になるラインは一概にはいえません。弊社では法人設立のサポートや1人会社専用顧問税理士サービスを行っておりますので、法人化を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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