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デジタル課税とは?導入が推進される背景とは

目次

2024年7月にブラジル・リオデジャネイロで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、国際課税に関する宣言が採択され、デジタル課税の早期実現の方針が盛り込まれました。

今回はビジネスのグローバル化やデジタル化によって導入が推進されている、国際課税の新たなルール「デジタル課税」について解説していきます。

そもそもデジタル課税とは?

国際課税では、「PE(恒久的施設)なければ課税なし」というルールがあります。PE(恒久的施設)には、支店や事務所、工場、倉庫といった物理的な拠点などが該当します。

そのため、外国企業が自国内でインターネットなどを通じてサービスを提供して収益を得ていたとしても、自国内に支店や工場などを置いていなければ、原則として課税することはできません。

デジタル課税とは、恒久的施設を置かずにサービスを提供する外国企業に対して、ビジネスが展開されている市場国に課税権を認める制度をいいます。自国内での収益に対する課税権を公平に分配することが目的です。

デジタル課税の導入に向けた現状

デジタル課税の導入は、当初、設定されたスケジュールから遅延しています。

2021年10月にOECD(経済協力開発機構)が中心となって進めるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトにおいて、約140ヵ国・地域がデジタル課税の導入に大枠で合意しました。

実際に国際課税のルールとしてデジタル課税を導入するには、多国間条約を策定して各国が批准し、それぞれの国での国内法の制定が必要です。

当初は2023年中の多国間条約の発効が目標に掲げられましたが、2度の延期により、現在は2025年中の多国間条約の発効が目標とされています。2023年10月にOECDによる多国間条約の条文案が公表されましたが、2024年3月までに条文案を確定し、2024年6月までに各国による署名を行うというスケジュールは、期限が守られませんでした。

デジタル課税の導入の遅延は、デジタル課税の対象となる巨大多国籍企業が多く、大きな影響を受けることが見込まれる米国との調整の遅れが主な原因とされています。

デジタル課税の仕組み

デジタル課税が導入されても、すべての企業の収益に対して市場国が課税権を得るわけではありません。

デジタル課税の対象となるのは、売上高200億ユーロ超・利益率10%超の高い収益性を持つ多国籍企業グループです。売上高200億ユーロは、1ユーロ=160.31円(2024年8月30日現在)で換算すると約3.2兆円です。

GAFAと呼ばれるGoogle・Apple・Facebook(現:Meta)・Amazonといったアメリカの巨大IT企業が含まれるとみられ、世界で100企業程度が対象になることが見込まれています。ただし、デジタル課税はIT企業のみを対象としたものではなく、この条件に合致すればIT領域以外の企業も対象となります。

また、デジタル課税では、収益の10%までを通常利益、10%を超える部分を超過利益とし、超過利益のうち25%の課税権が、恒久的施設を置いていなくても、100万ユーロ以上の収益を獲得している市場国に収益に応じて分配される仕組みをとります。市場国では、自国の法律にもとづいて分配された収益に対して課税します。

◆デジタル課税の導入による市場国への課税権の分配額の計算例

売上:400億ユーロ、費用(コスト):300億ユーロ、利益:100億ユーロの多国籍企業グループのケース

・超過利益:100億ユーロ―400億ユーロ×10%=60億ユーロ

・市場国への分配額:60億ユーロ×25%=15億ユーロ

このケースでは、15億円ユーロに対する課税権が100ユーロ以上の売上のある市場国に分配されます。

将来的には円滑にデジタル課税の運用が行われた後、売上高の基準は100億ユーロ超へと引き下げることが予定されています。

参照:財務省|もっと知りたい税のこと(令和5年7月発行)|7.「国際課税」を知ろう

デジタル課税の導入が必要とされる背景

従来は外国企業が参入する際には、進出する国へ恒久的施設を設けるのが一般的であり、法人税が発生していました。

しかし、ビジネスのグローバル化やインターネットの普及によるデジタル化が進んだことで、恒久的施設を置かずにインターネットを介したサービスを提供することが可能となりました。その結果、自国内で消費者に商品やサービスが提供され、外国企業が大きな利益を受けていても、恒久的施設がないため課税できないという課題が生じています。

また、多国籍企業が法人税率の低い国に移転して租税回避を図ることも問題視されています。

デジタル課税の導入は、ビジネスのデジタル化に国際課税のルールが追い付いておらず、ITサービスを提供する企業が拠点を置く国に税収が集中している状況を是正する目的があります。

デジタル課税が導入されると、日本でも対象になる企業は収益の一部に市場国の法人税の税率が適用されるため、税負担が変わる可能性があります。とはいえ、デジタル課税の対象になる企業が限られているため、多くの企業にはほとんど影響がないと考えられます。

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