オーバーツーリズムで税金が変わる?宿泊税とは
目次
訪日外国人観光客の増加によるオーバーツーリズムが社会問題になるなか、観光地を抱える自治体で宿泊税の導入や値上げの動きが見られています。
今回は宿泊税の概要や導入の背景、類似する入湯税などについて解説したうえで、施行が近づく免税制度のリファンド方式への移行についても改めて触れていきます。
■宿泊税とは?
宿泊税は地方税のなかでも、条例により税目を新設できる法定外税の一つです。
自治体が宿泊税などの法定外税を導入するには、まず、議会が特定納税義務者に意見の聴取を行い、意見の提出を受けることが義務付けられています。次に議会において条例可決後、総務大臣と協議を行います。そして、総務大臣は地方財政審議会に意見の聴取を行い、意見を得るとともに、財務大臣に通知を行い、異議がある場合には異議が出されます。その後、総務大臣が同意すると、宿泊税の導入が決定するという流れです。
宿泊税の徴収方法は、宿泊施設が宿泊者から宿泊料金の支払い時に徴収し、自治体に後日納付する特別徴収方式がとられているのが一般的です。
宿泊税の税率の設定方法は、1人1泊あたり一律の税額、もしくは宿泊料金による区分ごとに税額を設定する定額制が主流です。宿泊料金に応じて一定の割合の税率を課す定率制を導入する自治体もあります。
宿泊税を導入する自治体の例を挙げていくと、静岡県熱海市では2025年4月から1人1泊200円の定額制による宿泊税を導入しました。
2018年10月から宿泊税を導入していた京都市では、2026年3月から値上げを行い、現行制度では、1人1泊200円~1万円の5段階となっています。
北海道虻田郡ニセコ町では、2024年11月から宿泊税を導入し、1人1泊当たりの宿泊料金に応じて100円~2,000円の5段階の定額制で徴収していました。2026年11月1日からは、道税を含め1人1泊あたりの宿泊料金の3%を徴収する定率制に移行する予定です。
また東京都でも、2002年から1人1泊あたりの宿泊料金1万円以上 1万5,000円未満は100円、 1万5,000円以上は 200円の2段階で宿泊税を導入しています。2027年4月からは1人1泊あたりの宿泊料金1万3,000円以上の宿泊を対象に3%を徴収する定率制に移行する予定です。
参照:
■宿泊税の導入の背景や目的
宿泊税の導入の背景にあるのは、観光客の増加に伴う行政コストの増加です。観光地では、観光客の増加によって、施設整備費用や清掃費用、安全対策のための警備費用、ゴミの不法投棄による処理費用などの費用が増加し、財政を圧迫しています。
住民税や固定資産税、地方交付税といった従来の財源だけでは、こうしたコストを賄え切れず、住民サービスの低下につながることから、各地の自治体で新たな財源として宿泊税の導入が進められているのです。
■宿泊税と入湯税の違い
宿泊税と類似する税金として、地方税の入湯税が挙げられます。入湯税は温泉を使う入湯施設の利用者から徴収する税金です。
入湯税の標準税率は1人1日150円ですが、条例で異なる金額を徴収することもできます。入湯税は、入湯施設が利用者から徴収して市町村に納入する特別徴収方式がとられています。
宿泊税を導入する自治体で温泉による入湯施設のある宿泊施設に泊まると、宿泊税と入湯税の双方を負担することになります。
参照:総務省|入湯税
■免税制度「リファンド方式」への変更による負担増も
訪日外国人観光客の増加による税制への影響では、第118回「外国人旅行者向け免税制度の見直しによる「リファンド方式」とは」で紹介したように、2026年11月から外国人観光客向けの免税制度がリファンド方式に移行します。
現行制度では、免税店では免税対象商品を免税価格で販売しています。そして、出国時の税関での検査で外国人観光客がパスポートなどを提示し、購入記録情報と免税購入品の照合が行うという方法がとられています。しかし、出国時に税関での検査を逃れているケースが多く、商品の横流しの横行が問題となったため、免税制度が見直されることとなりました。
リファンド方式では、免税店は外国人観光客に免税対象商品を消費税込みの価格で販売し、出国時に持ち出しが確認された後、消費税相当額を返金するという流れとなります。
リファンド方式への移行により、免税店では訪日外国人観光客への説明や返金処理などによる負担が一時的に生じるとみられています。しかしリファンド方式への移行により、適正な免税制度の運用につながることが期待されています。
こうした訪日外国人観光客の増加による税制への影響は、多くの事業者にとって直接関係するものではありません。しかし、観光需要の高まりが自治体の税制や消費税の免税制度にも影響を及ぼしているなど、社会情勢と税金の関わりについて関心を持っておきたいところです。

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