個人事業主の所得税の予定納税の減額申請
目次
7月は所得税と復興特別所得税の予定納税の第1期分の納付時期です。予定納税は前年の所得にもとづくため、今年の業績などによっては資金面から納付が難しいケースがあり、減額申請の制度も設けられています。
今回は予定納税についておさらいしたうえで、減額申請の対象や手続き方法などについて解説していきます。
■予定納税とは
予定納税は、原則として5月15日現在に確定している前年分の所得金額や税額などをもとに計算した予定納税基準額が15万円以上の人を対象に、所得税と復興特別所得税の一部を事前に納付する制度です。
ただし、前年の所得税と復興特別所得税の申告納税額が15万円を超えていても、源泉所得税額を引くと15万円以下になる場合は対象外です。予定納税の対象者には、税務署から納付書が送られてきます。
予定納税の納付は2回あり、第1期分は7月1日~7月31日、第2期分は11月1日~11月30日の期間に納付が必要です。それぞれ、予定納税基準額の3分の1ずつ支払い、確定申告にて精算を行います。たとえば、予定納税基準額が21万円の場合は、第1期に7万円、第2期に7万円を納付し、その年の申告納税額が25万円の場合には確定申告の際に、差額の11万円を納付します。
一方、予定納税額がその年の申告納税額を上回っていて納め過ぎている場合には還付となり、還付加算金が上乗せされます。
■予定納税を滞納すると延滞税が発生
予定納税の対象者が期限内に納付を行わなかった場合には、延滞税の発生により、税負担がアップする点に注意が必要です。
延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」の いずれか低い割合です。納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以後は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。
2026年1月1日~12月31日の延滞税の割合は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは年2.8%、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以後は年9.1%です。
参照:国税庁|延滞税の割合
■予定納税の減額申請の対象
予定納税額の納付が難しいケースのうち、申告納税見積額が予定納税基準額よりも少なくなると見込まれるときは、予定納税額の減額を申請することが可能です。
予定納税の対象となるのは具体的には以下のケースです。
〈減額申請の対象となるケース〉
1.廃業や休業、失業をしたケース
2.業況不振などにより、前年分の所得よりも本年度の所得が明らかに少なくなると見込まれるケース
3.災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けたケース
4.所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加するケース
4つ目は、災害や盗難、横領により雑損控除を受けられるケースや、医療費控除額が増加するケース、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除といった人的控除が増加したケース、 社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の控除額が増加したケース、寄附金控除を受けられるケース、
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を新たに受けるケースなどが該当します。
※令和8年度税制改正における基礎控除などの所得控除の引上げについては、申告納税見積額の計算上、考慮されませんので、4の所得控除額が前年分と比較して増加したケースには含まれません。
この4つ以外の特殊な事情の場合も、予定納税の減額申請が行える場合があります。
参照:国税庁|A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続
ただし、予定納税額の減額申請によって予定納税額は減額されても、その年の納税額が減額されるわけではありません。
また、還付になる場合は還付加算金が上乗せされるため、申告納税見積額が予定納税基準額よりも少なくなると見込まれるケースであっても、資金にゆとりがある場合には予定納税を行った方が有利です。
■予定納税の減額申請の時期・手続き方法
予定納税の減額申請を行う期間は、第1期分・第2期分の場合は7月1日~7月15日、第2期分のみの場合は11月1日~11月15日です。提出期限が土曜日、日曜日、祝日に該当する場合は翌日までとなります。
予定納税の減額申請の手続きは、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書」を管轄の税務署に提出します。申請書には減額申請の理由のほか、申告納税見積額等の計算書を記入する必要があります。また、予定納税の減額申請には、申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類の添付が必要です。
申請方法には、パソコンでe-Taxを利用して申請書を作成して提出する方法と、書面で申請書を作成して税務署へ持参、または送付する方法があります。
また、予定納税の減額申請は必ず認められるとは限りません。税務署では、その申請について「承認」「一部承認」「却下」のいずれかを決定し、書面またはe-Taxで通知を行います。予定納税の減額が認められない場合には、納期限までに納付書に記載された納税額の納付が必要です。
予定納税は前年の所得にもとづいていることから、業績が悪化したケースに限らず、年によって売上が大きく変動するケースなどでも、納付が難しくなることがあります。予定納税額の減額申請ができる期間は決められていますので、納付が難しい場合にはお早目にご相談ください。

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