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法人決算が赤字になるとどうなる?

目次

3月決算の法人が多いことから、今回は「赤字決算」をテーマに取り上げます。

決算が赤字になった場合には、税金の種類によって、納税額が発生するものとそうでないものに分かれます。ただし、会計上の計算は赤字でも税法上は黒字となるケースもあるため注意が必要です。赤字決算における税務の基本を押さえたうえで、赤字決算になった場合のメリット・デメリットについて触れていきます。

■会計上は赤字でも税法上は黒字のケースとは?

一言で赤字決算といっても、会計上の赤字と税法上の赤字は異なるため、会計上は赤字となっていても、税法上は黒字というケースもある点に注意が必要です。税法上と会計上で異なり、税法上の所得は「益金-損金」で求めるのに対して、会計上の利益は「収益-費用」で求めるという違いがあるためです。

益金とは、収益のうち法人税の税額の算出の対象となるものを指す、法人税法上の概念です。また、事業活動のために支出した費用のうち、損金として認められる範囲は定められています。たとえば、交際費としての支出のうち、損金算入できるのは法人の規模によって一定額までとなっています。

■赤字でも納税する税金・納税が発生しない税金

税法上の決算が赤字となった場合は、法人税は発生しません。法人税は益金の額から損金の額を引いた所得金額に税率を掛けて算出するためです。

法人事業税には所得割、収入割、資本割、付加価値割の4種類があります。資本金1億円以下の普通法人は、このうち所得をもとに算出する所得割のみが課されるため、赤字であれば法人事業税は発生しません。ただし、電気供給業・ガス供給業・保険業を営む法人は、収入をもとに算出する収入割が課税されることから、赤字でも法人事業税が発生することがあります。資本金1億円超の普通法人は、所得割のほかに資本割や付加価値割も課されるため、赤字でも法人事業税が発生します。

また、特別法人事業税は、法人事業税額に税率を掛けて算出します。そのため、法人事業税が発生しない場合は特別法人事業税も発生せず、法人事業税が発生する場合は特別法人事業税も発生します。

法人住民税は法人税割に関しては、法人税額に税率を掛けて求めるため、赤字であれば発生しません。一方、法人住民税の均等割は、都道府県税は資本金、市町村税は資本金と従業数に応じて税額が決められていることから、赤字でも納税が必要です。

消費税は、課税事業者は課税売上に係る税額から課税仕入れ等に係る税額を控除した額を納付するため、全体の所得が赤字であっても納付が必要なことがあります。また、簡易課税制度を選択している場合は、課税売上金額があれば原則として納税額が発生します。源泉所得税は、役員・従業員の報酬・給与に対して発生することから、赤字でも納付が義務付けられています。

このほかに登録免許税や固定資産税、自動車税などは、赤字になった場合でも、通常通りの納付が必要です。

参照:

国税庁|No.5759 法人税の税率

総務省|法人事業税

東京都主税局|特別法人事業税

総務省|法人住民税

■赤字決算のメリット

赤字決算のメリットとして、税負担を大幅に抑えられることが挙げられます。税法上で赤字の法人は、法人税や法人住民税の法人税割ほか、一部の法人を除いて法人事業税や特別法人事業税の納付も不要となります。

また、青色申告をする法人は、最大で翌期からの10年間、欠損金(赤字)の繰越控除を受けることが可能です。翌期以降が黒字となった場合も、今期の損金を所得から差し引くことができるため、課税所得を抑えて税金の負担を減らせます。

あるいは欠損金が生じた事業年度の前年度が黒字の場合には、欠損金の繰戻しを行い、法人税の還付を受けることも選択可能です。ただし、この制度は一部の場合を除き、青色申告の中小企業者等の法人が対象となります。

欠損金の繰越控除や繰戻し還付については、第78回「青色申告の損失の繰越・繰戻しとは?個人事業主と法人の違い」で詳しく解説しています。

参照:

国税庁|No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

国税庁|No.5763 欠損金の繰戻しによる還付

■赤字決算のデメリット

赤字決算が続くと経営の継続が困難になることから、本来は黒字でありながら赤字を装っていることを疑われ、税務調査の対象となるリスクがあることがデメリットに挙げられます。とはいえ、税務調査を受けても、不当な申告をしていなければペナルティを受けることはありません。税務調査の結果、不当な税務処理が行われていると判断された場合には、過少申告加算税や重加算税などが課されます。

赤字決算によって信用力が低下すると、資金調達に影響が出ることもデメリットです。しかし、赤字の理由が固定資産売却損や災害損失などの特別損失、あるいは設備投資によるケースのほか、創業から日が浅いケースなどでは、信用力に影響しないこともあります。

また、デメリットとは異なりますが、赤字決算が続く状態では、債務超過による倒産が危惧されます。

税法上の赤字決算となると、最大で翌期からの10年間、欠損金の繰越控除を受けられるため、今後の税負担を抑えることができます。しかし、法人税などは発生しませんが、法人住民税や消費税などの納付は必要なため、税金の負担を見据えた資金繰りが必要となります。

法人の赤字決算について、税務上の疑問点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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