topics

トピックス

  • ナレッジ

役員報酬の変更方法

目次

3月決算を迎えて、役員報酬の変更を検討されている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

法人の役員報酬には「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」の3種類があり、いずれかの要件を満たしている場合のみ、損金算入をすることが可能です。このうち、定期同額給与は1ヶ月以下の一定期間ごとに同額を支払うもので、月給に相当します。

今回は役員報酬の中でも、定額同額給与を変更できる時期や手続き方法などについて解説していきます。

■役員報酬を変更できる時期

定期同額給与は、事業年度の開始日である期首から3ヶ月以内に1回のみ変更することが可能です。たとえば、3月決算の会社であれば、役員報酬を変更できるのは4月~6月の期間に1回のみとなります。その後は期末まで、原則として報酬額を変更することはできません。

後述する例外を除くと、期首から3ヶ月を過ぎてから定額同額給与を変更すると、一部が損金算入できなくなる点に注意が必要です。

参照:国税庁|No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)

■役員報酬の変更の流れ

役員報酬は、中小規模の法人では株主総会の決議によって定めるケースがほとんどです。会社法第361条において、定款で定めがない場合は株主総会の決議によって定めると規定されています。定款に定めがある場合も、株主総会の決議で決めると規定されているケースが一般的なためです。(合同会社では、社員総会の決議で定めるのが一般的です。)

参照:e―GOV|会社法第361条

株式会社の役員報酬を変更する際の手続きの流れは以下の通りです。

1.   株主総会で決議する

多くの会社では、定款で株主総会を期首から3ヶ月以内に開催するとしているため、定時株主総会に役員報酬の変更議案を提出します。定時株主総会のタイミングが合わない場合には、臨時株主総会を招集します。

通常は、発行株式総数の過半数を保有する株主の出席と、出席株主の議決権の過半数以上の賛成により可決する普通決議によって、役員報酬の変更議案が成立します。定款により役員報酬の変更には特別決議が必要と定めている場合には、出席株主の3分の2以上の賛成が必要です。

このほかには株主総会で役員報酬の総額を決定し、取締役会で各役員の報酬金額を決定する方法もあります。取締役会が設置されていない法人では、役員の過半数以上の賛成により決定します。

2.   議事録を作成する

株主総会や取締役会によって決定した役員報酬の変更について、議事録を作成して保管する必要があります。議事録が役員報酬変更の根拠となります。

3.(必要に応じて)年金事務所等へ届出を行う

定期同額給与の変更は税務署へ届出を行う必要はありません。ただし、社会保険料に関して、これまでの標準報酬月額と2等級以上の差が生じたケースなど、年金事務所等への届出が必要になる場合があります。

参照:日本年金機構|随時改定(月額変更届)

■例外的に役員報酬の増額・減額が可能なケース

期首から3ヶ月以内を除いて、役員報酬の増額や減額を行っても、例外的に損金算入が認められるのは臨時改定事由や業績悪化改定事由に該当するケースです。

・臨時改定事由に該当するケース(増額・減額)

随時改定事由に該当するのは、役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更などがあった場合です。随時改定事由は増額も減額も該当します。

〈随時改定事由に該当する例〉

*社長の任期途中での退任により、副社長が社長に昇格するなど、地位が上がったことで増額するケース

*退任した役員の職務の兼務により、職務範囲が広がり、増額するケース

*任期途中での降格によって職務範囲が変わり、減額するケース

*役員が入院し、職務の一部が執行できないため、減額するケース

*不祥事によって行政処分を受けたことにより、社会通念上妥当な範囲内で、一定期間にわたって減額するケース

*合併や会社分割などの組織再編により、職務内容が大きく変わり、増額・減額するケース

・業績悪化改定事由に該当するケース(減額)

業績悪化改定事由による減額が認められるのは、経営状況が著しく悪化した場合です。単に「一時的に資金繰りが悪化した」「業績目標に達しなかった」といった理由では、役員報酬の減額は認められません。

〈業績悪化改定事由に該当する例〉

・財務諸表が相当程度悪化したケース

・倒産の危機に瀕しているケース

・経営状況の悪化に伴い、株主や取引先、銀行などの利害関係者との関係性上、役員給与を減額させなければならない事情があるケース

参照:国税庁|役員給与に関するQ&A

役員報酬はルールを守って支給しなければ、全額、もしくは一部の損金算入が認められないことがあります。臨時改定事由や業績悪化改定事由による変更はあくまでも例外的なものです。資金繰りの悪化によって、役員報酬の支払いが難しいといった事態を避けるために、新しい事業年度を迎えるタイミングで、売上予測などをもとに1年間の役員報酬について改めて検討しましょう。

役員報酬の変更手続きに関してご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

BlueWorksGroup

BlueWorksGroupは、「専門家をもっと身近に。手軽に。」をモットーに、東京・大阪・名古屋に拠点を構えるプロフェッショナル集団です。若手の公認会計士・税理士・弁護士が所属し、会計・監査・税務・法務の専門性を活かしてサービスを提供。個人事業主からIPO準備企業・上場企業まで、さまざまな成長フェーズの企業をサポートし、「身近な専門家」として企業を支援しています。

BlueWorksGroup BlueWorksGroup