取得単価の上限40万円にアップ!少額減価償却資産の特例
目次
令和8年度税制改正において、少額減価償却資産の特例に関する適用期限の延長や、取得単価の上限の引き上げなどの改正が行われました。取得単価の引き上げは、近年の物価動向を踏まえ、設備投資の促進を目的としたものです。
今回は少額減価償却資産の特例の具体的な改正内容を解説するとともに、通常の減価償却や一括償却資産についても触れていきます。
■少額減価償却資産の特例の変更点
少額減価償却資産の特例は、正式には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という制度です。中小企業者等の事務負担の軽減を目的としています。
令和8年税制改正により、少額減価償却資産の特例が一部改正のうえ、2029年3月31日まで改正されました。
〈少額減価償却資産の特例の変更点〉

少額減価償却資産の特例の取得単価の上限は、30万円未満から40万円未満に引き上げられました。一方、合計額の限度300万円に関しての変更はありません。事業年度ごとに合計額の限度300万円までの範囲内で、取得単価40万円未満の償却資産の取得年度での一括計上が可能となりました。
合計額の限度300万円を超える場合の扱いは、超えない範囲内の資産の購入分までが適用を受けられます。たとえば、「38万円の資産」を8個購入すると合計額は304万円になりますが、少額減価償却資産の特例の適用を受けられるのは、7個分の266万円です。
また、少額減価償却資産の特例の対象となるのは、青色申告を行う中小企業者と農業協同組合ですが、従業数による規模の見直しが行われました。対象となる中小企業者等は、従業員500名以下から400名以下に縮小されました。
少額減価償却資産の特例は、これらの要件を満たせば、法人、個人事業主ともに対象となります。
ただし、中小企業経営強化税制のE類型の適用を受けている場合は、E類型の投資計画の期間中は、少額減価償却資産の特例の適用を受けることはできません。(中小企業経営強化税制については、第131回「中小企業経営強化税制とは?令和7年税制改正による変更点」をご参照ください。)
参照:
少額減価償却資産の特例の適用を受けると、利益の多い事業年度であれば、一括計上によってその年の税金の負担を減らせる点がメリットです。個人事業主は所得税や住民税、個人事業税、法人は法人税や法人住民税法人税割、法人事業税、特別法人事業税の負担を軽減できます。
ただし、少額減価償却資産の特例を利用したケースも償却資産課税台帳への登録の対象となり、課税標準額が150万円以上になる場合には、償却資産税の課税対象となる点に注意が必要です。(償却資産税については、第41回「償却資産税とは?申告が必要な償却資産とは」
■通常の減価償却との違い
そもそも減価償却とは、建物や建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具といった、時の経過などによって価値の減る減価償却資産を法定耐用年数に応じて費用計上する仕組みをいいます。ただし、取得価額が10万円未満のものは、取得年度に全額を計上します。
たとえば、キャビネットのうち、「主として金属製のもの」の法定耐用年数は15年です。20万円のスチール製のキャビネットを購入して、通常の減価償却を選択する場合は、20万円を15年で分割して費用計上します。
通常の減価償却は、利益の多い年度では少額減価償却資産の特例と比較して、不利になることがあります。特に個人事業主の事業所得は、超過累進税率が適用されているためです。
しかし、数年にわたって分割して費用計上することから、納税負担を平準化しやすい点がメリットとなることもあります。
■混同されやすい「一括償却資産」とは
少額減価償却資産の特例と混同されやすいものとして、一括償却資産が挙げられます。
一括償却資産は、取得価額10万円以上20万円未満の償却資産を3年間の等分で償却する方式です。一括償却資産は個人事業主、法人を問わず、青色申告以外の方でもすべての事業者が対象となり、合計額の上限は設けられていません。また、償却資産課税台帳への登録の対象とはならないことも、少額減価償却資産の特例とは異なる点です。
一括償却資産は3年という短期間での費用計上が可能なほか、償却資産税が非課税というメリットがあります。
通常の減価償却と少額減価償却資産の特例、一括償却資産のいずれが有利になるかは、償却資産課税台帳へ登録のある固定資産の状況やキャッシュフローなどによって、ケースバイケースです。償却資産となる10万円以上の物品を購入された際には、償却方法などについてお気軽にご相談ください。

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