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法人の利益が出過ぎている場合の対処法

目次

日本の多くの企業では、3月に決算期を迎えます。多くの利益が出るのは喜ばしいことではあるものの、法人税などの負担が重くなります。

今回は想定よりも利益が出過ぎている法人の経営者の方に向けて、決算前にできる節税対策をご紹介します。「経費の増加」「給与の増加」「資産の変動」「保険の活用」の4つに分けて挙げていきます。

■節税対策1:経費の増加とは

1つ目は広告宣伝費や福利厚生費、物品の購入などにより、損金算入できる経費を増やす方法です。とはいえ、むやみに経費を使うのはおすすめできません。あくまでも事業の円滑な遂行に必要な費用に限定しましょう。

広告宣伝費は今後の企業活動において、自社の商品やサービスの認知を広げるために有効です。たとえば、ホームページの制作や更新、あるいはLPの制作、採用ホームページの制作、インターネット広告の出稿、チラシの制作、動画の制作などの費用が挙げられます。

福利厚生費を経費算入できるのは、従業員がいる会社に限られます。一人社長の会社、もしくは社長と役員のみの会社では、福利厚生費を損金算入することは認められません。福利厚生費の経費算入にあたっては、全従業員が対象となることが要件です。パーティーや社員旅行などのイベントの場合は、全従業員の50%以上が参加することも要件となります。

また、契約にもとづいて一定期間にわたって継続的に役務(サービス)の提供を受けるための費用は前払費用に該当する点に注意が必要です。前払費用に該当するのは、家賃や火災保険料の前払い、サブスクリプションサービスなどです。

前払費用は原則として支払い時に資産計上し、役務の提供を受けたときに損金に算入します。つまり、当該の事業年度内にサービスの提供をまだ受けていない部分は損金算入できません。しかし、支払った日から1年以内に役務の提供を受けるなど、短期前払費用の要件を満たす場合には、支払った事業年度に全額を損金算入することが可能です。

参照:国税庁|No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合

■節税対策2:給与の増加

2つ目は給与を増加する方法です。ただし、基本的に役員報酬は想定よりも利益が出たからといって、事業年度の後半で変更することはできません。定期同額給与を変更できるのは期首から3ヵ月以内であり、賞与に当たる事前確定届出給与は期首から4ヵ月以内に税務署への届出が必要です。(詳しくは第95回「損金算入できる役員報酬のルールとは」にて解説しています。)

ただし、役員の増員によって役員報酬の総額をアップすることは可能です。

また、通常、従業員への決算賞与は翌事業年度での支払いになりますが、一定のルールにもとづいて支給した場合には当該の事業年度で損金算入できます。主な要件は「決算日までに支給対象のすべての従業員に個別に支給額を通知している」「通知したすべての従業員に通知した支給額を決算日から1ヵ月以内に支払っている」「当該の事業年度に損金処理している」の3つです。

参照:国税庁|No.5350 使用人賞与の損金算入時期

■節税対策3:資産の変動

3つ目の資産の変動による節税対策では、不要な在庫や固定資産の処分、設備投資が挙げられます。

不要な在庫の処分が節税につながるのは、在庫は売上原価に含まれないためです。売上総利益は「売上総利益=売上高-売上原価」、そして売上原価は「売上原価=期首在庫+仕入高-期末在庫」という計算式で求めるため、在庫を減らすと売上総利益を小さくできます。

固定資産の廃棄や売却、除却による損失が出る場合には損失を計上できることから、使用していない固定資産の処分も検討対象となります。

一方で高額な設備投資を行っても、原則として減価償却資産に該当することが多く、法定耐用年数に応じて分割して経費計上を行うことから、当該年度の節税効果は限定的です。ただし、少額減価償却資産や特別償却に該当する場合には、節税効果が見込めます。

少額減価償却資産は一定の要件を満たす中小企業者を対象とした制度で、取得価額が30万円未満の減価償却資産を購入した場合は、年間合計300万円までを限度に、当該の事業年度で一括して損金算入が可能です。ただし、現行の制度は2026年3月31日までの時限措置となっています。

参照:国税庁|No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

また、中小企業投資促進税制により、2026年3月31日までに新品の機械装置などの取得または製作を行い、国内の製造業や建設業などの指定事業で利用するなど要件を満たす場合に、当該の事業年度での特別償却、または税額控除が可能です。特別償却限度額は「普通償却限度額+基準取得価額の30%相当額」、税額控除限度額は基準取得価額の7%相当額です。

参照:国税庁|No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)

■節税対策4:保険の活用

4つ目は保険の活用による節税対策です。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)に加入すると、掛金を全額損金に算入可能で、取引先の倒産による経営難に備えることができます。さらに40ヵ月(=3年4ヵ月)以上納付すると、解約しても納付済みの掛金全額が解約手当金として受け取れます。(詳しくは第89回「経営セーフティ共済とは?加入のメリットと注意点」をご参照ください。)

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構|経営セーフティ共済とは|制度の概要

また、総合福祉団体定期保険は、法人が契約者となり、従業員の死亡や高度障害を対象とした保険で、規定にもとづいて支給する弔慰金や死亡退職金の財源確保のために利用できます。総合福祉団体定期保険の掛金も全額損金算入が可能です。

今回は法人の利益が出過ぎている場合の節税対策をご紹介しましたが、節税を意識するあまり、経費の無駄な支出をしてしまい、キャッシュフローが悪化してしまっては本末転倒です。決算で多額の利益が見込まれ、節税対策を検討される場合にはお気軽にご相談ください。

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