子どもは夫婦どちらの扶養に入れる?
目次
夫婦共働きの世帯では、子どもをどちらの扶養に入れるかルールはあるのでしょうか。結婚当初とは、夫婦の収入が逆転することもあります。
今回は共働き夫婦の子どもの扶養について、社会保険上の扶養と税法上の扶養に分けて解説していきます。
■「扶養」は2種類
共働きなどで夫婦の双方に収入があり、共同して子どもを扶養することを夫婦共同扶養といいます。この場合の扶養には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
税法上の扶養とは、所得税や住民税の扶養親族として扶養控除の対象とすること。扶養控除の適用を受けることで、所得税や住民税の負担を軽減できます。
社会保険の扶養とは、被保険者の被扶養者として加入し、健康保険の給付を受ける仕組みのことです。被扶養者とは被保険者に扶養されている人を指します。被扶養者の分の保険料の負担は発生しません。
■税法上の扶養は収入が多い方が有利
税法上の扶養では、子どもを夫婦や同じ世帯の所得者のいずれの扶養親族にするか選択することが可能です。重複して申告しない限りは、夫婦どちらの扶養親族とするか、自由に決められるのです。
会社員や公務員は、子どもを扶養親族とする方が、勤務先に提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」へ扶養親族として記載します。また、確定申告書にも扶養親族に関する記入欄があります。
たとえば、夫よりも妻の方が収入が多いケースでも、子どもを夫の扶養親族にしても問題ありません。あるいは子どもが2人いるケースでは、長男Aは夫の扶養親族、次男Bは妻の扶養親族といった形で分けることもできます。
また、後述する社会保険上の扶養とは異なる選択も可能です。社会保険上の扶養が妻であっても、税法上の扶養は夫にしても問題ありません。
しかしながら、基本的には夫婦の所得が多い方の扶養親族とした方が有利です。所得税は課税所得が一定の金額以上になった場合に、超過部分に対して高い税率を課す超過累進税率が課されているためです。

ただし、扶養親族のうち扶養控除の控除対象扶養親族になるのは、その年の12月31日現在で16歳以上の人のみです。16歳未満の子どもは夫婦どちらの扶養親族としても、実際には影響はありません。
■社会保険上の扶養は明確な基準がある
社会保険上の扶養は、夫婦共同扶養おける被扶養者の認定基準が決められており、2021年に改定されました。
以前は前年度の年間収入が基準となっていました。しかし、夫婦の収入がほぼ同じケースや年度ごとに収入が異なるケースでは、保険者間での調整に時間を要すると、子どもが無保険状態になってしまい、一旦医療機関で全額を支払い、後日、償還払いを受けるという不都合が生じたためです。
2021年の厚生労働省の通知による夫婦共同扶養おける被扶養者の認定基準は以下の通りです。
〈夫婦ともに被用者保険の場合〉
被用者保険とは、国や地方公共団体、法人などに雇用される公務員や会社員が加入する健康保険です。
過去や現時点、将来から見込んだ今後1年間の収入が多い方の被扶養者となります。ただし、夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、届出によって主として生計を維持する方を被扶養者とすることができます。
〈夫婦のいずれかが国民健康保険の場合〉
夫婦のいずれかが、個人事業主などで国民健康保険に加入している場合も、収入が判断基準になる点は同様です。被用者保険の被保険者の年間収入と、国民健康保険の被保険者の直近の年間所得から見込んだ年間収入を比較して、多い方が主として生計を維持する者になります。
主として生計を維持する者が被用者保険の被保険者である場合には子どもを被扶養者にできます。一方、主として生計を維持する者が国民健康保険の被保険者の場合は扶養の概念がないため、子どもも国民健康保険に加入します。
参照:厚生労働省保険局保険課長・厚生労働省保険局国民健康保険課長通知|夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について
被用者保険では、子どもなどが何人も被扶養者になっても、保険料は変わりません。被扶養者の認定基準が決められているため、自由に選択できませんが、付加給付が充実した健康保険に加入している方の被扶養者になる方が有利です。
主として生計を維持する者が国民健康保険の被保険者の場合は、子どもも国民健康保険に加入することで、子ども自身に収入がなくても均等割険料が発生します。ただし、2022年4月から、未就学児の均等割保険料の5割を減免する制度が設けられました。子どもの保険料に関して、独自の減免制度を設ける自治体もあります。
(国民健康保険の保険料については、第9回「国民健康保険料の計算方法とは」で詳しく解説しています。)
夫婦共同扶養の場合にいずれの扶養とするか、社会保険上の扶養にはルールが設けられていますが、税法上の扶養は自由に決められます。税法上の扶養について、夫婦どちらの扶養親族とした方が有利かお悩みの場合は、別途お気軽にご相談ください。

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