子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充によるメリットとは
目次
国が子育て支援を強化するなか、令和7年税制改正によって、2026年(令和8年)に限り、子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充が行われます。
生命保険料控除は支払った保険料の一部を所得税や住民税から控除し、税負担を軽減する制度です。
今回は所得税の生命保険料控除について改めて解説したうえで、子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充の内容について紹介していきます。
■そもそも生命保険料控除とは
そもそも生命保険料控除とは、生命保険、介護医療保険、個人年金保険の1年間に支払った保険料に応じて、一定の所得控除が受けられる制度です。
通常、保険契約者が保険料を支払いますが、保険契約者と保険を支払っている人が異なる場合には、実際に保険料を負担している人が生命保険料控除の適用を受けられます。たとえば、妻が保険契約者で、夫が保険料を支払っているケースでは、生命保険料控除の適用を受けられるのは夫です。
また、生命保険料控除は保険契約の締結時期によって、異なる制度が併存しています。2012年(平成24年)1月1日以後に締結した保険契約には新制度、2011年(平成23年)12月31日以前に締結した保険契約には旧制度が適用されます。ただし、旧制度の対象となる保険契約を更新すると、保険契約全体が新制度の対象になります。
◇新制度
新制度では、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3つの区分が設けられています。いずれも控除額の上限となる適用限度額は4万円です。新制度では、これらの3つを合計した12万円が適用限度額となります。
新制度の保険契約の控除額は、年間の支払保険料に応じて以下の計算方法で算出します。
<新制度の保険契約の控除額の計算方法>

◇旧制度
旧制度では生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つの区分があり、控除限度額の上限はそれぞれ5万円です。旧制度の2つの控除を合計した控除限度額は10万円です。
新制度の保険契約の控除額の計算方法は以下の通りです。
<旧制度の保険契約の控除額の計算方法>

新制度と旧制度の双方の契約がある場合には合計することができますが、控除限度額は12万円です。
新制度と旧制度のどちらに該当するか、あるいは保険料の区分や年間の支払金額は、毎年10月頃に加入する生命保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」で確認できます。また、生命保険料控除の適用を受けるには、年末調整や確定申告での手続きが必要です。
(第33回「生命保険料控除とは?控除限度額や計算方法」では、保険料の区分や新制度と旧制度の契約がある場合の計算方法、住民税の生命保険料控除などを含め、詳しく解説しています。)
■子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
令和7年税制改正によって、2026年(令和8年分)の1年間に限定して、子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充が行われることになりました。
具体的には、23歳未満の扶養親族がいる人を対象に、所得税の生命保険料控除の新制度の一般生命保険料控除の控除額の上限が4万円から6万円に引き上げられます。ただし、一般生命保険料除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除を合計した生命保険料控除の控除限度額は12万円から変更はありません。
2026年に限り、子育て世帯の新制度の一般生命保険料控除は、年間の支払保険料に応じて、以下の計算方法で算出します。
<2026年:子育て世帯の新制度の一般生命保険料控除>

■生命保険料控除の拡充の恩恵は限定的
令和7年税制改正による子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充は、生命保険料のうち、新制度の一般生命保険料のみが対象です。一般生命保険料控除の控除限度額は4万円から6万円への2万円のアップと、引き上げ幅はわずかな増額にとどまっています。
また、生命保険料控除の控除限度額12万円の引き上げがないことから、個人年金保険料控除と介護医療保険料控除による控除額がそれぞれ上限の4万円の上限に達している場合には、控除額は増えません。
恩恵を受けられるのは子育て世帯のうち、「一般生命保険料の年間支払保険料が8万円を超えている」、かつ「個人年金保険料控除と介護医療保険料控除のいずれか、もしくは双方の年間支払保険料が8万円未満」という人に限られています。
現状では1年間のみの施策という点からも、子育て世帯が受ける恩恵は限定的といえるでしょう。
ただし、令和7年税制改正では、このほかにも子育て支援税制として展開されている施策があります。第127回「リフォームに関わる減税制度とは?省エネリフォームには補助金も!」で紹介したリフォーム促進税制の子育て対応改修工事の適用期間と、住宅ローン控除の子育て世帯等への優遇措置は、それぞれ1年間延長になりました。

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