みなし贈与とは?課税対象になるケース
目次
みなさんは「みなし贈与」という言葉を聞いたことがありますか?当事者間に贈与という認識がなくても、譲渡金額によっては贈与税を課税されるリスクがあります。
今回はみなし贈与の考え方を押さえたうえで、みなし贈与と判定されやすいよくあるケースについて解説していきます。
■みなし贈与とは
通常の贈与は、贈与する側である贈与者と、贈与される側である受贈者との間で、「贈与をした」「贈与をされた」という認識があります。これに対してみなし贈与は、贈与者と受贈者に贈与という認識がなくても、実質的に経済的な利益が生じている場合に贈与とみなすことをいいます。
みなし贈与は贈与者と受贈者に贈与という認識がないことから、贈与税の申告をせず、税務署から申告漏れを指摘され、贈与税に加えて延滞税を課されるリスクがあります。
相続税法第9条には以下の規定があり、これがみなし贈与と呼ばれるものです。
対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
譲渡にあたって対価の支払いを受けていない場合は時価、あるいは著しく低い金額で譲渡した場合には時価との差額が贈与税の課税対象となります。
(贈与税の計算方法は、第42回「高価なクリスマスプレゼントやお年玉に贈与税はかかる?」で解説しています。)
■みなし贈与の基準
みなし贈与に関して、相続税法第9条に「著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」とありますが、「著しく低い価額の対価」に明確な基準はありません。
所得税法では、「著しく低い価額の対価」で譲渡された場合には、時価で譲渡されたものとみなされ、所得税法施行令において、「著しく低い価額の対価」は「譲渡資産の2分の1に満たない額」と定められています。
これに対して、相続税法では「著しく低い価額の対価」に関する規定が設けられていません。「著しく低い価額の対価」に該当するかどうかは、社会的通念にもとづいて、過去の裁判所の判例などを参考に、税務署が個別に判断しています。
参照:
国税庁|No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
国税庁|相続税法第9条の「みなし贈与」について-資本取引等を巡る課税関係を中心として-
■みなし贈与と判定されやすいケース
みなし贈与と判定されやすい主なケースをまとめました。
◆親が子に貸したお金の返済を免除したケース
親が子にお金を貸した後、親が返済を免除すると、みなし贈与に該当します。たとえば、親が子に500万円を貸して返済を免除したら、実質的に子どもは500万円をもらっているためです。
◆親族間で借用書なしで金銭を貸し、返済が滞っているケース
親子などの親族間で借用書なしでお金を貸して、返済が滞っているケースも、みなし贈与と判定されやすいです。借用書がなければ、借金という証拠がない点に注意しましょう。
◆親が子の借金を肩代わりしたケース
親が子の借金を肩代わりするケースは、子へのみなし贈与に該当します。たとえば、子が消費者金融から300万円を借りていて、親が返済を肩代わりした場合は、子は300万円の利益を得ることになるためです。
ただし、受贈者に資力がなく、弁済が困難なケースで、扶養義務者から譲り受けた場合は、贈与とみなされない可能性があります。つまり、扶養義務者である親が子の借金を肩代わりするケースは、必ずしもみなし贈与に該当するわけではありません。
◆親が子に不動産や株式を低額で売却したケース
親が子に不動産や株式を時価よりも著しく低額で売却したケースは、みなし贈与と判定される可能性があります。土地は過去の判例により、「著しく低い価額の対価」は時価の80%未満が目安とされています。
たとえば、親が4,000万円の土地を子に1,000万円で売却した場合、税務署から差額の3,000万円を贈与と指摘され、贈与税が課税されることが考えられます。
◆親が無償で自宅を子の名義にしたケース
親名義の自宅を無償で子の名義にした場合は、みなし贈与に該当します。たとえば、親の自宅に4,000万円の価値がある場合に、子に名義変更して、子が所有者になると、子は無償で4,000万円の資産を取得したことになるためです。
あるいは、親がお金を出して建てた家を無償で子の名義にするケースも、みなし贈与に該当します。
不動産を安易に名義変更すると、贈与税が発生する可能性がある点に注意しましょう。
◆親が非上場株式を子に無償譲渡したケース
上場株式は通常、証券取引所を介して取引が行われているため、適正な価額が明確にわかります。みなし贈与の問題が起こることがあるのは、非上場株式の譲渡です。
親から子へ経営権を譲る際などに、非上場株式を無償で譲渡するケースがありますが、みなし贈与に該当します。非上場株式を低額で譲渡するケースも、時価との差額に対して贈与税が課税されるリスクがあります。
◆親子で共同購入した不動産の出資額と持分比率が異なるケース
二世帯住宅を購入するケースなどで、親子で共同購入した不動産の出資額と持分比率が異なると、みなし贈与に該当します。
たとえば、5,000万円の土地を父親が3,000万円、子が2,000万円を出して購入した場合は、持分比率は「父親3:子2」になります。しかし、持分比率を「父親1:子1」として登記する場合は、子は500万円の譲渡を受けていることになるため、贈与税が課されることが考えられます。
みなし贈与と判定されないためには、「著しく低い価額の対価」に該当しない金額で譲渡する必要がありますが、明確な基準が設けられていないという難しさがあります。贈与にあたって、税務面でのお困りごとがございましたら、別途お気軽にご相談ください。

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