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法人化にあたって 家族を役員と従業員にする場合の違いとは?

目次

個人事業で経理などの事務作業を家族が担っているケースなどでは、法人化にあたって、家族を役員と従業員のどちらにしたらよいのか、悩まれることがあるのではないでしょうか。

そこで、今回は法人成りを考えている個人事業主の方に向けて、家族を役員にする場合と従業員にする場合の違いを押さえたうえで、メリットや注意点などについても取り上げていきます。

■家族を役員にする場合と従業員にする場合の違い

法人化にあたって、家族を役員にする場合と従業員にする場合では、契約形態をはじめ、給与・報酬や賞与、退職金などの面で違いがあります。

契約形態の面では、役員は株主総会の決議によって選任され、会社と委任契約を結ぶ形となります。従業員は会社と雇用契約を結び、原則として労働基準法が適用され、就業規則にもとづいて業務に従事します。

報酬・給与の面では、役員への報酬を損金算入できるのは、一定のルールにもとづいて支払った場合のみです。損金算入できる役員報酬には「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」という種類があり、給与に該当するのは定期同額給与です。定期同額給与は毎月同額を支払う報酬を指し、残業手当やインセンティブなどの加算により、支給額を変動させることはできません。(役員報酬について、第95回「損金算入できる役員報酬のルールとは」にて詳しく解説しています。)

また、従業員の賞与の損金算入には特段のルールはありませんが、役員への賞与を損金算入するには、事前確定届出給与のルールに則るに必要があります。事前確定届出給与として支払うには、事前に株主総会で支給額や支給日などを決定し、税務署への届出が必要です。(役員の賞与に関して詳しくは、第96回「役員への賞与を損金算入できる!?事前確定届出給与とは」をご参照ください。)

退職金を役員へ支給するには株主総会での決議が必要であり、就業規則にもとづいて支給を行う従業員とは違いがあります。

■家族を役員にする場合のメリット

家族を役員にすると、収入を分配することで所得税の節税につながるほか、社会保険へ加入できることがメリットとして挙げられます。

役員であれば、家族以外の従業員の有無に関わらず、出勤簿への記録などの労務管理が不要です。また、実務に見合っているなど、妥当性があれば高額な報酬を支払うこともできます。

■家族を役員にする場合の注意点

家族を役員にすると、原則として定期同額給与として固定した報酬を支払わなければならならない点に注意が必要です。想定よりも多くの売上が上がっても、事業年度の途中で報酬を上げることはできず、反対に業績が悪化した場合にも、例外として認められるケースを除くと、報酬を下げることもできません。

また、役員の業務量が少なく、会社への貢献が大きくないにも関わらず、高額な報酬を支払っていると、従業員に不満が生じてモチベーションの低下につながる恐れがあります。

このほかには、会社員として本業を持つ家族を役員にする場合には、勤務先の副業に関する規定の確認が必要です。

■家族を従業員にする場合のメリット

家族を従業員にする場合も、所得税の節税につながることや社会保険へ加入できることがメリットとして挙げられます。

また、家族を従業員にする場合は、業績がアップした段階で事業年度の途中で給与を上げたり、直前までの業績をもとに賞与を支給したりすることができます。

人材確保の面では、家族であれば人材募集にかかるコストや手間がかからない点や、短期間、あるいは短時間で必要なときだけ働いてもらうこともできるといった点もメリットといえます。

■家族を従業員にする場合の注意点

家族を従業員とする場合にも、同居で生計を一とする家族のみを雇用しているケースを除くと、労務管理を行う必要があります。また、家族以外の従業員を雇用していれば、家族にも労働基準法が適用されます。たとえば、労働時間や休憩時間などに関する規定も適用されることから、労働基準法に違反しないように注意しましょう。

このほかには家族を従業員にしている場合であっても、同族会社で実質的に経営に関与しているケースでは、税法上の役員であるみなし役員に該当する可能性がある点に注意が必要です。みなし役員は給与ではなく、役員報酬としての扱いになります。

参照:

国税庁|No.5200 役員の範囲

法人化にあたっては、家族を役員にする場合と従業員にする場合の違いを理解したうえで、検討することが大切です。あらかじめ、経営への関与や担当する業務範囲について取り決めをしておく必要があります。税務上の疑問点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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