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損金算入できる役員報酬のルールとは

目次

個人事業主には給与という概念はありませんが、法人化すると役員報酬を決定して、毎月、決められた額を支払うことになります。法人の役員報酬は一定のルールにもとづいて支給しなければ、損金に算入できないためです。

今回は新年度に法人成りを検討している方に向けて、役員報酬を損金算入するために知っておきたい報酬額決定のルールについて解説していきます。

■役員報酬とは

役員報酬とは、取締役や監査役といった役員に支払う報酬のことです。合同会社は出資した社員に支払う報酬が役員報酬です。給与は雇用契約を結ぶ従業員に支払われるものを指します。

給与は勤務実績に応じて支給し、時間外労働には残業代の支給が必要となり、最低賃金の対象となります。これに対して、役員報酬は必ずしも勤務実績に応じる必要はなく、最低賃金の対象外であり、日割り計算はできません。

また、役員報酬は一定のルールに従って手続きを踏まなければ損金算入できないのも、給与とは異なる点です。

■ルール①会社設立3ヵ月以内に決定

設立初年度に役員報酬を損金算入するには、会社設立日から3ヵ月以内に役員報酬を決定する必要があります。たとえば、4月15日に会社を設立した場合、7月14日までに役員報酬を後述する方法で決定しなければ、少なくとも設立初年度は役員報酬を損金算入できなくなります。また、原則として、事業年度の期末までは役員報酬の変更はできません。

そこで、会社設立直後は経営が安定した収益が確保できないことが想定される場合は、設立から2ヵ月間は役員報酬を決定せずに無報酬とし、3ヵ月目から役員報酬を決定して支払うという方法もとれます。

■ルール②株主総会または定款で決定

役員報酬は定款、または株主総会の決議で定める必要があり、株主総会(合同会社は社員総会)で決定するのが一般的です。また、株主総会で役員報酬の総枠を決めて、取締役会で役員の個別の報酬額を決定するという流れがとられることが多いです。

役員報酬の決定にあたっては、株主総会や取締役会で過半数以上の賛成が必要となります。また、株主総会や取締役会では、役員報酬の根拠資料として議事録を作成しておく必要があります。

■ルール③役員報酬の支払い方は3種類

役員報酬を損金算入するには、支払い方法にもルールがあります。損金算入できるのは、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」の3種類です。

定期同額給与とは毎月同額を支払う報酬を指し、役員の月給のようなものです。残業手当などの加算により、支給額を変動させることはできません。定期同額給与は、税務署への特別な手続きは不要です。

事前確定届出給与は指定した日にあらかじめ決めた額を支給する報酬をいい、役員の賞与に該当します。事前確定届出給与は事前に税務署への届出が必要です。(事前確定届出給与については次回、取り上げる予定です。)

業績連動給与は会社の利益に応じて支払う報酬です。ただし、業績連動給与の支給にあたっては有価証券報告書への記載が義務付けられており、株式を公開していない非上場会社は活用できません。また、同族経営の会社も対象外です。

■役員報酬の決め方のポイント

役員報酬の金額を検討する際には、1年間の売上予測を立て、経費などを引いた利益を試算します。そして、1年間に見込まれる利益をもとに、無理のないように役員報酬を決めましょう。

ただし、同業他社と比較して極端に高額な役員報酬を設定すると、損金算入が認められない可能性があるため注意が必要です。

また、会社には利益に応じて、法人税や法人住民税、法人事業税などの税金がかかります。(法人の税金については、第65回「法人化するとかかる税金とは?節税対策になる?」で詳しく解説しています。)一方で役員報酬が少なければ会社の税負担が増え、役員報酬が多いと個人の所得税や住民税、会社や個人の社会保険料の負担が増えることになります。そのため、役員報酬の決定にあたっては、会社と個人が負担する税金のバランスや、社会保険料の負担を考慮することが大切です。

■役員報酬を変更できるときとは

役員報酬は変更することもできますが、原則として事業年度開始から3ヵ月以内に限られています。役員報酬を変更するには株主総会での決議が必要です。

ただし、事業年度開始から3ヵ月を経過以降も、例外的に役員報酬を変更できるケースがあります。役員報酬を増額できるのは、役員の地位や職務内容を変更したケースです。たとえば、代表取締役に昇格したケースや、退任した役員の職務を兼任したケースなどが該当します。

また、役員報酬を減額できるのは、役員を降格したケースや役員の懲戒処分を行ったケース、役員が病気やケガなどで業務を遂行できなくなったケース、会社の経営状況が悪化したケースです。

例外的な事象によってやむを得ず、役員報酬を変更することもありますが、定期同額給与は毎月同じ金額を支給するのが基本です。事業年度ごとに収益を予測して、適切な役員報酬を決定するようにしましょう。

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