赤字決算でも納付が必要!?法人住民税とは
目次
法人住民税は法人に課税される税金の一つで、赤字でも税額が発生するのが特徴です。
今回は法人を設立している方や法人の設立を検討中の方に向けて、法人住民税について解説。税率などについて押さえたうえで、複数の自治体に事業所を置いているケースについても触れていきます。
■法人住民税とは
法人住民税は、法人も自治体による行政サービスを利用することから、地域の構成員として負担する地方税です。法人住民税の納税義務者は、都道府県や市町村に事務所などを置く法人です。
法人住民税には都道府県民税と市町村民税があり、それぞれ均等割と所得割で構成されています。ただし、東京都23区に設置された事務所に関しては、法人都民税としてまとめて徴収が行われています。
法人住民税は法人税や法人事業税と同様に、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に申告・納付を行います。
■法人住民税の均等割の税率
法人住民税の均等割は法人の規模に応じて、均等に負担します。法人住民税の均等割は、都道府県民税は資本金、市町村民税は資本金と従業員数による基準で、税額が決められています。
個人住民税は一定の所得以下の場合は均等割も非課税となりますが、法人住民税は赤字の場合も均等割による税金が発生します。
【均等割(標準税率)】

参考:総務省|法人住民税
<計算例/資本金500万円、従業員5名のケース>
都道府県民税・均等割:2万円
市町村民税・均等割:5万円
法人住民税は最低でも7万円はかかるといわれているのは、この金額によるものです。たとえば、資本金が数十万円で従業員ゼロの一人会社で、決算で赤字になっても、法人住民税7万円は発生します。
■法人住民税の法人税割の税率
法人住民税の法人税割は法人税を課税標準額とし、「法人税額×法人税割税率」という計算式で算出します。法人税割は、利益が出ている法人ほど負担額が大きくなります。
【法人税割(標準税率)】
都道府県民税:法人税額×1%
市町村村税:法人税額×6%
参考:総務省|法人住民税
法人税の税率は、資本金1億円以下の一般的な中小企業の場合で、年間の所得が800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%です。年間の所得が赤字で、法人税が発生しなければ、法人住民税の法人割の支払いはありません。
<計算例/資本金500万円、年間の所得100万円のケース>
法人税:100万円×15%=15万円
都道府県民税・法人税割:15万円×1%=1,500円
市町村民税・法人税割:15万円×6%=9,000円
自治体によっては資本金と法人税額による基準による超過税率が定められています。超過税率とは、地方税法で定められた標準税率よりも自治体が条例で定めた高い税率を指します。
東京都の場合は、「資本金・出資額が1億超」または「法人税額が1,000万円超」の場合に、超過税率の対象となります。
参考:東京都主税局|法人事業税・法人都民税|法人都民税について|2 税率は
■複数の自治体に事務所がある場合の計算方法
本社と支店、営業所、あるいは店舗、工場など、複数の自治体に事務所を置いている場合は、それぞれの自治体に対して法人住民税の支払いが発生します。
均等割は課税標準額を分割するのでなく、資本金とそれぞれの自治体の事務所で働く従業員数によって決まります。そのため、事務所を置く自治体の数が増えると、税額が増えることがあります。一方、法人税割は、課税標準額である法人税額を事務所が置いてある自治体の人数比で分割します。
<計算例/資本金3,000万円、従業員100名、法人税額300万円、従業員の内訳:A県70人(a市事業所60人、b市事業所10人)、B県30人(c市事業所20人、d市事業所10人)のケース>
◆均等割
均等割は、県民税は資本金、市民税は資本金と従業員数に応じて、それぞれ税金を負担します。
・県民税
A県:5万円
B県:5万円
・市民税
a市:15万円
b市:13万円
c市:13万円
d市:13万円
◆法人税割
法人税割は、法人税額(課税標準額)を従業員数の割合で分割し、税率を掛けます。
・県民税
A県:
300万円×70/100=210万円
210万円×1%=2万1,000円
B県:
300万円×30/100=90万円
90万円×1%=9,000円
・市民税
a市:
300万円×60/100=180万円
180万円×6%=10万8,000円
b市:
300万円×10/100=30万円
30万円×6%=1万8,000円
c市
300万円×20/100=60万円
60万円×6%=3万6,000円
d市
300万円×10/100=30万円
30万円×6%=1万8,000円
法人住民税のうち都道府県民税・市町村民税の均等割は、資本金や従業員数や所得が同じであっても、事務所を置く自治体の数によって税額が変わります。現在、事務所を置く都道府県外、あるいは市町村外に事務所を新たに設けると、法人住民税の均等割が増える可能性があるという点に留意しましょう。
ただし、法人住民税は、実際には自治体によっては超過税率などが設定されている場合がありますので、各自治体のホームページなどでご確認ください。

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