トランプ関税で注目される保護関税・相互関税とは?
目次
2025年1月に米国のトランプ大統領が就任して以降、いわゆるトランプ関税が連日、ニュースで取り上げられています。4月2日(日本時間:4月3日)には、かねてから予定されていた相互関税の発表がありました。
そこで、今回は関税の基礎知識を抑えたうえで、保護関税や相互関税などについて解説していきます。
■そもそも関税とは
関税とは、物品の輸出入の際に課される税金です。自国から物品が海外へ出ていく際に課税される輸出関税と、自国に物品が入る際に課税される輸入関税という種類があります。
ただし、関税は輸入関税が主流であり、日本でも輸出関税は用いられていません。財務省のホームページにおいて、関税は以下のように定義されています。
関税は、歴史的には古代都市国家における手数料に始まり、内国関税、国境関税というような変遷を経てきましたが、今日では一般に「輸入品に課される税」として定義されています。
また、関税の目的からは、財源の調達手段とする財政関税と、国内産業を保護するための保護関税に分けられます。現在の日本では、関税は財源の適切な確保という役割もあるものの、保護関税としての機能に重きが置かれています。
■保護関税の目的は自国の産業保護
保護関税は他国の農産物や製品などの物品に関税を課し、価格に転嫁させることで、他国の製品などの価格競争力を抑え、自国の産業の保護を図ることを目的としています。主に保護関税の対象となるのは、自国よりも品質が優れている物品や価格が安い物品、あるいは自国には存在しない物品に関わる品目です。保護関税は、輸入量制限といった政策とともに実施されることもあります。
輸入される製品に保護関税を課すことで、国内産業が価格競争力に巻き込まれずに、安定した需要が見込める環境で成長を図れることがメリットです。また、対象となる物品に関連する分野での雇用の維持も期待できます。
しかし、関税の税率が高すぎると、該当する品目の物品が国内に十分に入らず、供給不足に陥ることや、物価上昇による消費者の生活の質の低下が懸念されます。また、行き過ぎた保護関税政策は、生産者や企業のコスト低下や品質向上への意欲をそぐため、いつまでも国際競争力が培われないといったデメリットが生じることも器具されます。
あるいは、自国が高い関税をかけていると、他国が自国の物品に対する関税を引き上げて、貿易摩擦に発展することがあります。
■自由貿易協定とは
自由貿易協定(FTA)とは貿易を円滑に行うため、2か国以上の国・地域が相互に関税などの貿易に関わる制限を削減、または撤廃する協定です。また、FTAと似たものに経済連携協定(EPA)があります。EPAは、貿易に関する取り決めのほか、投資や知的財産の保護、人の交流といった幅広い領域で経済的に連携するための協定という点が異なります。
日本では2025年1月現在、24か国・地域とFTA・EPAなどの署名済・発効済となっています。
参照:外務省経済連携課|我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組
FTAやEPAの締結により、貿易が促進されるほか、締結国間での市場参入のハードルが下がり、企業が海外進出を果たしやすくなるといったメリットがあります。さらに、自国や相手国の市場での競争により、効率性を重視し、品質や性能の向上に取り組むことから、国際競争力のアップも期待できます。
■トランプ大統領が導入を進める相互関税とは
相互関税の目的は、相手国と自国の関税の差の解消です。一般的に相互関税は、同じ品目に対して相手国と同じ税率の関税をかけるという方法をとります。たとえば、相手国が自国から輸入する品目Aに15%の関税をかけている場合は、自国も相手国から輸入される品目A対して15%の税金を掛けるという方法です。
あるいは、他の品目で関税の差を解消するという方法もあります。この場合は自国と相手国の品目Aに関わる関税の税率の差を他の品目Bの税率に追加して解消するといった方法をとります。
ただし、トランプ大統領が導入を進めている相互関税は、関税の税率だけでなく、付加価値税の税率も含めるとされていました。付加価値税は、日本では消費税が該当します。
付加価値税も含めた相互関税の考え方の例を挙げると、相手国が自国から輸入するA品目に対して関税15%、各流通過程で付加価値税5%が課税されているとします。自国は相手国からの品目Aの輸入に関税10%を課し、付加価値税がない場合には、相手国に対して相互関税により、10%の税率の差を解消するという考え方になります。
報道によると、実際に4月2日(日本時間:4月3日)に米国から発表された相互関税は、すべての国に対して基本税率10%、アメリカの輸出品に高い関税を課している国には上乗せをするという内容でした。日本は実質的に米国に46%の関税を課しているという理由から、24%の税率が適用されます。基本税率は4月5日から、上乗せ税率は4月9日からの発動が予定されています。
日本を含め各国の対応にもよりますが、トランプ大統領の相互関税を巡る施策によって、世界経済の先行きが不透明な状況が続くと思われます。

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