相続登記の義務化!空き家問題と固定資産税の関係
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空き家問題が起こる要因の一つに固定資産税の問題があることをご存じでしょうか。増え続ける空き家問題への対策として、2023年4月1日に遺産分割協議が10年の制限が設けられる民法改正が施行され、4月27日から相続土地国庫帰属制度がスタート。2024年4月からは相続登記が義務化されます。
今回は空き家対策の一環として、所有者不明土地対策のために国が順次実施する3つの制度に触れたうえで、空き家問題と固定資産税の関係について解説していきます。
■空き家対策の3つの制度が順次スタート

引用:総務省|平成30年住宅・土地統計調査|図1 総住宅数,総世帯数及び1世帯当たり住宅数の推移-全国(1958年~2018年)
総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、空き家や総住戸数に占める空き家の割合を示す空き家率は、1958年以降、右肩上がりで上昇しています。2018年には空き家は約848万9,000戸、空き家率は13.6%にも及びました。
適切に管理されていない空き家は、老朽化による家屋の倒壊や、外壁材や屋根材の落下などの危険があります。また、雑草の放置や害虫などの繁殖による衛生面や景観の悪化、不法投棄や不法侵入、不審火などによる治安の悪化など、近隣の住環境への深刻な問題を招いています。
そこで国は空き家問題に対処するため、所有者不明土地対策に乗り出しました。所有者が亡くなった際に土地の相続登記が行われずに放置されると、適切な管理が行われないことが多く、長い年月の間に土地の相続に関わる人が増えていくと、所有者の特定も困難になるためです。
国では、所有者不明土地対策として具体的な施策を3つ進めています。
1つ目は2023年4月1日に施行された遺産分割協議に10年の制限を設ける民法改正です。遺産分割協議とは、相続人全員で相続財産の分割方法を決める手続きです。法改正後も遺産分割協議自体は相続が発生してから10年を超えて行うこともできますが、特別受益と寄与分を主張できるのが10年以内とされました。特別受益は生前に個人から受けた贈与などの特別な利益を指し、例えば婚姻のための結納金、生活のための生活費や学費が挙げられ、相続財産に持ち戻して分割します。寄与分は故人の財産の維持や増加への貢献した場合に、法定相続割合に上乗せを行うもので、被相続人の事業への労務提供(無償または低廉)や借入金の代理返済などが挙げられます。
2つ目は2024年4月からの不動産の相続登記の義務化で、相続の開始から原則として3年以内の相続登記申請が義務づけられました。
参考:法務省民事局|令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます!
3つ目は2023年4月27日からスタートした相続土地国庫帰属制度で、相続した不要な土地が、相続登記をされないまま放置されることを防ぐために設けられました。一定の要件のもと、宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続人が国に引き渡すことができます。
参考:政府広報オンライン|相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」
■空き家問題の原因の一つは固定資産税対策
そもそもなぜ空き家が増えているかという原因に戻ると、少子高齢化による人口の減少や日本では新築住宅信仰が強いたことなどから、中古住宅のストック数が増加していることが理由に挙げられます。
とはいえ、使わない空き家であれば解体して更地にするという選択肢もありますが、家屋を残した状態にしているのは、実は固定資産税や都市計画税の問題が要因の一つになっています。
居住用の家屋が立つ土地は住宅用地として、固定資産税と都市計画区域内で課税される都市計画税の軽減措置が設けられています。住宅用地のうち、小規模住宅用地は200平方メートルまでの部分、一般住宅用地は200平米を超える部分です。小規模住宅用地は固定資産税は1/6、都市計画税は1/3、一般用住宅用地は固定資産税は1/3、都市計画税は2/3に軽減されます。
<住宅用地の特例による軽減>

参考:東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|2.住宅用地の特例措置|2.住宅用地の特例措置
200平米は約60.5坪ですので、都市部の一般的な戸建て住宅は敷地全体が小規模住宅用地となります。特に土地の評価額が高い都市部では、住宅用地に該当することによる軽減の効果が大きく、所有者が空き家を解体して更地にすることを躊躇する要因となっているのです。
■実家などの空き家は適切な管理を
しかし、空き家をメンテナンスなどの管理を行わずに放置していると、2015年5月に施行された空き家等対策特別措置法による特定空き家に指定される恐れがあります。
<特定空き家の認定基準>
・放置すると、倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態(将来著しく保安上危険になることが予見される場合を含む)
・放置すると、著しく衛生上有害となる恐れのある状態(将来著しく衛生上有害になることが予見される場合を含む)
・適切な管理が行われていないため、著しく景観を損なっている状態
・放置することが周辺の生活環境の保全を図るために不適切である状態
参考:国土交通省|「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
自治体から特定空き家に指定された後、改善が図られないと、「助言・指導→勧告→命令→行政代執行」という流れで処分が行われます。「勧告」を受けた段階で、住宅用地の特例から除外されるため、固定資産税や都市計画税がアップします。そして、「命令」に応じない場合には、50万円以下の過料が課されます。さらに特定空き家を放置していると、行政代執行によって解体される可能性があります。
空き家を放置すると、倒壊や屋根材、外壁材の落下などの危険があり、周辺の住環境を損なう恐れもあります。実家などの空き家を持っている方は適切な管理を行うことが望まれています。

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