がん検診とも関係が!?セルフメディケーション税制とは?
目次
新年度がスタートした4月以降、お住まいの市区町村によっては、自治体からがん検診のお知らせが送られてきているのではないでしょうか。がん検診は
健康の維持のためにも受けておきたいところですが、セルフメディケーション税制の適用の要件にも関わることをご存知でしょうか。
セルフメディケーション税制は、OTC医薬品※の購入費用を対象とし、医療費控除よりも金額面での申請のハードルが低いのが特徴です。
今回はセルフメディケーション税制や医療費控除について紹介していきます。
※OTC(Over The Counter)薬品とは、医師の処方箋がなくても店頭で買える医薬品のことをいいます。
■セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制とは、対象となるOTC医薬品を1年間に世帯の合計で1万2,000円以上購入し、健康の保持増進及び疾病の予防の一定の取り組
みを行っている人を対象に、所得控除を行う制度です。対象となるOTC医薬品の購入費用のうち、1万2,000円を超えた部分が所得控除の対象で、上限は8
万8000円となっています。
セルフメディケーション税制は2017年に特例としてスタートし、2022年から5年間延長されています。
<セルフメディケーション税制の適用の条件>
①申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族が、対象となるOTC医薬品を1月1日~12月31日の1年間に1万2,000円以上購入
②申告者が健康の保持増進及び疾病の予防の一定の取り組みを行っている(1つ以上)
③医療費控除を受けていないこと(医療費控除との併用不可)
④申告者が所得税や住民税を納めている
条件①セルフメディケーション税制の対象品目
セルフメディケーション税制の対象となるOTC医薬品は、要指導医薬品と一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品で、厚生労働省のWebサイ
トに掲載されています。2023年4月1日時点でスイッチOTC薬品2,701品目、非スイッチOTC薬品は3,982品目が対象となっています。
例えば、熱が出た時の心強い味方やさしさが半分詰まった”バファリン”や、この時期特に活躍する花粉の症状を抑える“アレグラ”など多くの薬が対象で
す。
参照:厚生労働省|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について|2 セルフメディケーション税制対象品目一覧
対象製品の多くにはセルフメディケーション税制の共通認識マークがついています。
セルフメディケーション税制を申告するための健康の保持増進及び疾病の予防の一定の取り組みには、以下が該当します。
条件②健康の保持増進及び疾病の予防の一定の取り組み
・特定健康診査(メタボ健診)、特定保健指導
・予防接種(インフルエンザの予防接種・高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種)
・会社の定期健康診断
・健康保険組合や市区町村国保等の保険者が実施する人間ドッグや各種検診などの健康診査
・市町村が健康増進事業として実施するがん検診
・市区町村が健康増進事業として実施する健康診査(生活保護受給者等を対象)
参照:国税庁|No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
冒頭で取り上げた市区町村が実施するがん検診は対象になりますが、市町村が自治体の予算で住民サービスとして実施する健康診査は対象外という点に
注意しましょう。
条件③医療費控除との併用不可
医療費控除は1月1日から12月31日までの1年間に世帯で一定額以上の医療費の支払いがあると、所得控除を受けられる制度です。医療費控除も、申告者と
生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費の合計が対象になります。
「医療費が10万円を超えると、医療費控除の適用を受けられる」と認識している方が多く、誤りではありませんが、総所得が200万円未満の方は医療費が
10万円未満でも対象になることがあります。また、医療費から保険金で補填される金額を引きます。
<医療費控除の対象となる金額>
・総所得200万円以上の場合
医療費―保険金で補填された額―10万円
・総所得200万円未満の場合
医療費―保険金で補填された額―総所得×5%
たとえば、総所得が150万円の人は保険金で補填された額がない場合、医療費が7.5万円を超えると医療費控除の対象になります。
医療費控除の対象となる費用は病院の診療費や医薬品の購入費以外にもあり、以下が対象となります。
<医療費控除の対象となる主な費用>
・医師・歯科医師による診療費・治療費・入院費
・治療・療養に必要な医薬品の購入費(病気の予防や健康増進のための医薬品の購入費を除く)
・通院のための交通費(電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合以外のタクシー代、自家用車のガソリン代や駐車場代を除く)
・医師等の送迎費
・入院時の部屋代や食事代
・コルセットなど医療用器具等の購入代・賃借料
・診療や治療に必要な義手や義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用
・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による施術費(疲れを癒す、または体調を整える目的を除く)
・傷病によっておおむね6ヶ月以上寝たきりで治療を受けている場合のおむつ代
・介護保険の利用による介護費
・骨髄移植や臓器移植のあっせんに係わる患者負担金
・年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる場合の歯科矯正費
・妊娠と診断されてからの定期検診・検査・交通費
・出産で入院する場合のタクシー代
参照:国税庁|No.1122 医療費控除の対象となる医療費 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例 No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例 No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例
■セルフメディケーション税制はハードルが低い
セルフメディケーション税制と医療費控除のいずれも対象となる場合も、どちらか一方を選択して適用を受けます。
医療費控除は医療にかかった費用が原則として年間で10万円以上支払った場合に対象になるのに対して、セルフメディケーション税制は対象となるOTC
医薬品を1万2000円以上購入している場合が対象です。一般的にセルフメディケーション税制の方が適用を受けられるハードルが低いといえます。
医療費控除やセルフメディケーション税制による減税額を、例を挙げてみていきます。
<例:所得400万円、医療費控除の対象となる医療費11万円、セルフメディケーション税制の対象となるOTC医薬品の購入費3万円のケース(保険金による
補填はなし)>
◆医療費控除
医療費控除の対象額:11万円―10万円=1万円
所得税の減税額:1万円×20%=2,000円
住民税の減税額:1万円×10%=1,000円
合計:3,000円
◆セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制の対象額:3万円―1万2000円=1万8,000円
所得税の減税額:1万8,000円×20%=3,600円
住民税の減税額:1万8,000円×10%=1,800円
合計:5,400円
所得税は超過累進税率が適用されているため、減税額を算出する際の税率は所得によって変わりますが、医療費控除とセルフメディケーション税制で対
象額が多い方が、減税額が多くなります。
■どちらも必要書類を保管して確定申告が必要
セルフメディケーション税制も医療費控除も適用を受けるには、確定申告での申告が必要です。どちらも対象になる場合に備えて、必要な書類を保管
し、資料ご送付ください。
セルフメディケーション税制に関しては、対象となるOTC医薬品の領収書やレシートのほか、健康の保持増進及び疾病の予防の一定の取り組みに関わる
領収書または結果通知表を保管しておきます。医療費控除は医療費の領収書を保管しておくほか、公共交通機関を使った通院の交通費などのメモを作成
しておくことが望まれます。

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