災害や盗難の被害に遭ったときに知っておきたい!雑損控除とは?
目次
地震や火災などの災害や盗難などの被害を受けた方で、損害がすべて回復されていないケースでは、雑損控除の適用を受けて税金の負担が減る可能性があります。
今回は雑損控除とは何か、対象となる資産や控除額の算出方法などについて解説していきます。
■雑損控除とは
雑損控除とは、災害や盗難、横領によって、対象となる資産が損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けられる制度です。所得控除とは、所得から一定の金額を引く控除をいいます。
ただし、災害による損害を受けた場合には、災害減免法による所得税の軽減免除の対象になる可能性があります。主な要件を挙げると、所得が1,000万円以下の人で、災害によって受けた住宅や家財の損害金額から保険金などにより補填された金額を引いた額が、時価の2分の1以上の場合が対象です。災害減免法による所得税の軽減免除の額は、「所得500万円以下は所得税全額」、「所得500万円を超え750万円以下は所得税の2分の1」、「所得750万円を超え1,000万円以下は所得税の4分の1」です。
雑損控除と災害減免法による所得税の軽減免除は、有利な方を選択できます。また、住民税も雑損控除の適用を受けられます。
参考:国税庁|No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除
■雑損控除の対象者・資産の要件
雑損控除の対象者と対象者の保有する資産の要件は以下の通りです。
<雑損控除の対象者の要件>
・納税者
・納税者と家計を一にする配偶者やその他の親族で、総所得金額が48万円以下の人
<雑損控除の資産の要件>
・「棚卸資産」「事業用固定資産」以外の資産
・「生活に通常必要でない資産」以外の資産
棚卸資産とは、事業用に仕入れたものの在庫を指し、商品・製品、半製品のほか、原材料や仕掛品なども含まれます。事業用固定資産に該当するのは、事業に使用していた建物や機械、車両などです。
自宅の家屋は雑損控除の対象になりますが、別荘は対象外です。また、貴金属や絵画、骨董などは1組の価格が30万円を超えるものは、生活に通常必要でない資産に該当し、対象となりません。たとえば、家具や家電、衣類、本などは生活に通常必要な資産として、雑損控除の対象になります。
参考:国税庁|No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
■雑損控除の対象となる損害
雑損控除の対象となるのは以下の原因による損害です。
<雑損控除の対象となる損害の原因>
・震災や風水害、冷害、雪害、落雷などの自然災害
・火災や火薬類の爆発などの人為的な異常災害
・害虫などの生物による異常災害
・盗難
・横領
自然災害や火災、害虫による災害などのほか、盗難や横領は雑損控除の対象になりますが、詐欺や恐喝は対象にならないという点に注意が必要です。
参考:国税庁|No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
■雑損控除額の計算方法
雑損控除は以下の2つの計算式で算出した額のうち、大きい方が適用されます。
1.(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
2.(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
雑損控除の算出にあたっては、火災保険などによる保険金は控除されます。災害関連支出の金額とは、災害によって被害を受けた住宅などの解体費用や撤去費用、修繕費用などが該当します。このほかにも、雪害による雪下ろし費用、害虫による以上災害の駆除費用なども、災害関連支出になります。
また、災害や盗難、横領などによる損害額が大きく、その年の所得から所得控除額を控除しきれない場合には、3年を限度に翌年以後に繰り越すことが可能です。
例を挙げて、1と2の計算式で控除額を算出してみます。
<計算例/総所得金額:400万円、対象となる資産の損失金額;300万円、災害関連支出額:40万円、保険金:200万円>
◆1の計算による控除額
(300万円+40万円-200万円)-400万円×10%
=140万円-40万円
=100万円
◆2の計算による控除額
40万円―5万円=35万円
この例では1のケースの方が金額が大きいため、雑損控除による所得控除額は100万円になります。
参考:国税庁|No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
■雑損控除の適用を受けるには確定申告が必要
雑損控除は給与所得者の方も年末調整で適用を受けることはできないため、確定申告での申告が必要です。確定申告書を作成する際には、市町村や消防署が発行する罹災証明書など損害を証明する書類や、保険会社が発行する保険金の支払い証明書といった保険金等に関する書類が必要になります。
また、確定申告を行う際には、雑損控除の適用に当たって上記の書類の添付又は提示が必要になりますが、e-Taxで申告する場合には必要書類の記載内容を入力して送信することにより、添付や提示を省略することができます。
当社顧問の個人事業主の方は、確定申告の際に必要書類を提出いただければ、雑損控除、または災害減免法による所得税の軽減免除のいずれかを適用して申告手続きを行います。必要書類に関して詳しくはお尋ねください。

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