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ふるさと納税の返礼品のルール見直しによる影響とは

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総務省によると、ふるさと納税の受入額は年々増加傾向にあり、2022年度には9,654億1,000万円にも及びました。皆さまの中にもふるさと納税制度を利用されている方や制度に関心を持つ方が多いのではないでしょうか。

ふるさと納税制度は2019年に指定制度が創設され、現在では総務大臣が指定に係る基準にもとづいて指定した自治体のみが対象となっています。総務省ではこの指定に係る基準に関して、2023年6月に返礼品に関する2つの変更を発表しました。

今回は、返礼品のルール見直しの内容や今後の影響について解説していきます。

引用:総務省自治税務局市町村税課|ふるさと納税に関する現況調査結果況調査結果(令和5年度実施)|ふるさと納税の受入額及び受入件数の推移(全国計)

■そもそもふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄附をすると、寄附額から2,000円を引いた金額が、控除上限額の範囲内で所得税と住民税から全額控除される制度です。控除上限額は、所得や家族構成などによって異なります。

ふるさと納税による所得税や住民税の所得控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。ただし、確定申告が不要な給与所得者で、寄附先の自治体が5つ以内の場合には、ワンストップ特例制度を利用することもできます。ワンストップ特例制度では、寄附先の自治体に寄附金税額控除に係る申告特例申請書を送付すると、翌年の住民税から控除されます。

ふるさと納税制度は自分の生まれ育った故郷や応援したい自治体に貢献するための制度として、創設されました。寄附をした自治体からは返礼品が届くことから、実質2,000円の負担で地域の特産品が手に入る制度としても人気を集めています。

参考:総務省|ふるさと納税ポータル|よくわかる!ふるさと納税

■変更点1:経費総額の厳格化

ふるさと納税の指定に係る変更点の1つ目は、募集適正基準の改正による経費総額の厳格化です。これまでも返礼品の調達費用は寄付額の3割以下、経費総額は寄附額の5割以下とするルールが定められていました。従来から対象となる経費には、返礼品や送料、広告費、ふるさと納税の仲介サイトの手数料が含まれていました。

今回の改正では、これまで取り扱いが曖昧でグレーゾーンとされていた、ワンストップ特例制度に関連する事務費用や寄附金受領証の発行費用・郵送費などが、経費に含まれることが明確化されました。

ふるさと納税の受入額の総額が年々増加していることに伴い、事務経費がかさんでいき、寄附金受領証の発行費用などを含めた実質的な費用が5割を超えるケースが顕在化したことが背景にあります。

参考:総務省自治税務局市町村税課|ふるさと納税の次期指定に向けた見直し

■変更点2:熟成肉と精米の産地の制限

変更点の2つ目は地場産品基準の改正で、熟成肉と精米の産地の制限です。ふるさと納税の指定制度で、返礼品として認められているのは地場産品です。指定に係る地場産品基準では、「自治体内で生産されたもの」や「自治体で主要な原材料が生産されたもの」、「自治体内で加工や製造の主要な部分を行い、相応の付加価値が発生しているもの」のほか、自治体のキャラクターグッズなどが、返礼品として認められています。

今回の改正では、熟成肉と精米に関しては、自治体内で加工や製造の主要な部分を行っていても、原材料が同一の都道府県内産の場合のみ認められることになりました。具体的には、輸入した牛肉を熟成させたものや他の都道府県で収穫した玄米を精米したものは対象外とされています。

「輸入した牛肉を寝かせただけ」、あるいは「米どころの他の都道府県で収穫したブランド米を精米しただけ」では、付加価値を向上させているとはいえないことが理由とされています。

参考:総務省自治税務局市町村税課|ふるさと納税の次期指定に向けた見直し

■ふるさと納税のルール見直しの背景と今後

今回の総務省によるふるさと納税の指定に係る基準の見直しは、2023年10月1から1年間の指定から適用されます。各自治体では、ふるさと納税制度の指定自治体から外されるのを防ぐため、10月からふるさと納税の返礼品の見直しを行う可能性があります。

厳格化された経費ルールでは経費割合が5割を超えてしまう自治体では、今後も指定を受けるには、経費削減を図るか、返礼品の見直しを行うか、いずれかの対策が必要です。たとえば、これまで1万円の寄附でもらえた返礼品が、1万2,000円の寄附の対象になるといったケースが考えられます。

あるいは、これまで返礼品として熟成肉や精米を提供していた自治体のうち、都道県内の原材料を使用していなかったケースでは、返礼品から外れる可能性があります。

ふるさと納税のルール見直しの背景には、住民税が流出している自治体の不公平感や、返礼品を目的とした寄附が本来の趣旨から外れているという点があります。

ふるさと納税を利用する人が多い自治体ほど、住民税の軽減による減収となります。2022年度のふるさと納税による住民税控除額がもっとも多かった自治体は横浜市で、272億4,200万円が流出しています。

引用:総務省自治税務局市町村税課|ふるさと納税に関する現況調査結果況調査結果(令和5年度実施)|(参考)令和5年度課税における市町村民税控除額の多い20団体

2023年10月から返礼品が変更される可能性がありますが、いずれにしてもふるさと納税制度は1月1日から12月31日までの年単位のため、今年の寄附を検討されている方は早めの手続きが望ましいといえます。ふるさと納税を利用された個人事業主の方は、「寄附金の受領書」を確定申告まで保管ください。

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