暗号資産の売買で利益にかかる税金とは
目次
暗号資産(仮想通貨)による取引は一時期のブームは落ち着いたものの、多くの利益を得られる可能性があることなどから、注目を集める投資手法の一つです。
しかし、暗号資産の取引で利益を得た場合の税金の取り扱いは、上場株式や投資信託などとは大きく異なるため、正しい知識を持っておくことが大切です。
今回は暗号資産にかかる税金について、課税の対象となるタイミングや税金の計算方法などについて解説していきます。
■暗号資産の取引で税金が発生するケース
個人事業主の場合、暗号資産を保有しているだけでは原則として税金はかかりませんが、次に挙げるケースでは課税対象となります。
◆暗号資産を売却したとき
取引所などで購入した暗号資産を売却して、利益が出た場合には課税対象となります。たとえば、ビットコインが1BTC=200万円のときに0.5BTCを100万円で購入。その後、1BTC=400万円に上がり、0.5BTCを200万円で売却したケースでは、100万円の利益に対して税金がかかります。
◆他の暗号資産に交換したとき
暗号資産は他の暗号資産と交換することができますが、他の暗号資産に交換したタイミングで含み益が出ている場合には課税対象となります。
先ほどのケースと同様にビットコイン0.5BTCを100万円で購入した後に値上がりし、200万円分のリップルに交換した場合も、100万円の含み益が課税対象です。その後、リップルを売ることなく保有して現金化していないケースでも、税金が課されることになります。
◆暗号資産を決済に使用したとき
暗号資産は決済にも使用できるため、「モノを購入するのに使えば税金はかからない」といわれることもありますが、それは誤りです。暗号資産でモノを購入した時点で、含み益が出ているケースも課税対象となります。
◆暗号資産をマイニング・ステーキング・レンディングなどによって取得したとき
このほかにも暗号資産をマイニング、ステーキング、レンディングといった手段で取得したときには、取得時の時価から必要経費を引いた額が所得となります。
マイニングとは暗号資産のブロックチェーンの仕組みを使った取引の承認作業によって、報酬を得ること。ステーキングは対象となる特定の暗号資産を保有することで報酬を得ることをいいます。レンディングは暗号資産を貸し付けて利益を得ることです。
参考:国税庁|暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)
■暗号資産の取引による所得は雑所得
株や投資信託の売買による譲渡益や配当、分配金として得た利益は、譲渡所得や配当所得として申告分離課税で一律20%(所得税15%、住民税5% ※復興特別所得税を除く)が課税されます。上場企業の配当金は、給与所得や事業所得など他の所得と合算した所得に対して課税する総合課税を選択することも可能で、有利な方を選べます。
一方、暗号資産による譲渡益などの所得は雑所得に該当します。雑所得は総合課税の対象であり、所得の区分が上がるごとに高い税率が課される超過累進税率が適用されます。つまり、暗号資産による譲渡益が高額になるほど、あるいは他の所得が多いほど、所得税は高い税率が適用されます。最高税率は所得税45%に住民税10%を加えて55%にも及びます。

暗号資産による所得が事業所得と認められるケースもありますが、暗号資産に関わる帳簿を保存し、その年の暗号資産による収入が300万円以上ある場合に限られます。
■暗号資産の取引は他の所得との損益通算ができない
暗号資産の取引に関わる所得は原則として雑所得のため、他の所得との損益通算や赤字の繰り越しができない点に注意が必要です。
赤字が出たときに他の所得から引くことができるのは、不動産所得と事業所得、譲渡所得、山林所得のみです。たとえば、事業所得500万円の人が暗号資産の取引で100万円の損失を被っても、雑所得とは損益通算ができないため、500万円の所得に対する税金が発生します。
また、上場株式等の譲渡損失は3年間、その年に控除できない額がある場合には赤字を繰り越すことができますが、暗号資産の取引は赤字を繰り越すこともできません。2021年に暗号資産の売買で200万円の損失があり、2022年に100万円の利益があったケースでも、2022年には100万円に他の所得を合わせた合計所得に対する税金が課税されます。
■暗号資産に関わる所得は確定申告の対象
暗号資産に関わる所得は原則として確定申告の対象です。ただし、1つの会社で年末調整を受けている給与所得者の場合は、給与所得および退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えない場合等は確定申告の必要はありません。
引用:国税庁|No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
暗号資産に関わる所得の算出にあたっては、総平均法と移動平均法があります。原則として用いられているのは、1年間の購入金額を取引数量で割って平均購入単価を算出する簡易的な方法の総平均法です。総平均法では、暗号資産交換業者が発行する年間取引報告書をもとに比較的簡単に作成できます。
移動平均法は暗号資産を購入する都度、取得単価を算出する方法です。移動平均法を用いる場合には、暗号資産を新たに購入した年や他の種類の暗号資産を購入した年の分の確定申告期限までに、税務署に届出が必要です。また、届出を行うと3年間は計算方法を変更することができません。
暗号資産に関わる取引による所得は、原則として確定申告の対象となります。暗号資産に関わる取引が事業所得にあたることが見込まれるケースなど、何かご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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