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CSRや税制優遇で注目される「企業版ふるさと納税」とは?

目次

ふるさと納税というと、個人の地方公共団体への寄附というイメージが強いかもしれませんが、地方創生を進めていくため、企業の寄附に対する税制優遇制度も設けられています。平成28年(2016年)度にスタートした企業版ふるさと納税は、令和2年(2020年)度税制改正による税額控除額の引き上げを受けて、活用する企業が増加傾向にあります。

今回は企業版ふるさと納税について、制度の概要や活用のメリットなどを紹介していきます。

■企業版ふるさと納税とは

企業版ふるさと納税とは、正式名称を「地方創生応援税制」といいます。国が認定した地域再生計画による地方公共団体の地方創生プロジェクトに、企業が寄附を行った場合に、税制上の優遇を行う制度です。

通常、企業が地方公共団体に対して寄附を行うと、寄附額全額を損金算入できることから、税金の負担が約3割軽減されます。さらに企業版ふるさと納税としての寄附は、法人関係税の税額控除が受けられます。令和2年(2020年)度税制改正による拡充によって、令和6年(2024年)度までは最大で約6割の税額控除を受けられるようになりました。これにより、損金算入による税額負担の軽減約3割と、法人関係税の最大で約6割の税額控除を合わせると、企業の実質的な負担は約1割です。

なお、簡易的ではありますが、税額控除最大を取るための寄付額はおよそ課税所得の1%となります。

<法人関係税の税額控除の内訳>

・法人住民税:寄附額の4割(法人住民税法人税割額の2割を上限)

・法人税:法人住民税から寄附額の4割を控除できない場合の残額で、寄付額の1割まで(法人税の0.5割を上限)

・法人事業税:寄附額の2割(法人事業税の2割を上限)

地域再生計画の認定を受けた地方公共団体は、2023年4月1日現在で、46道府県1,543市町村に及んでいます。ただし、東京都と三大都市圏の既成市街地などにある市区町村は、不交付団体のため、企業版ふるさと納税の対象外です。また、企業が自社の本社を置いている市区町村への寄附も、適用の対象から外れます。

企業からの寄附を促進するため、寄附額の下限は10万円に設定され、上限は事業費の範囲内に制限されています。また、寄附を行った企業への経済的な見返りは禁止されていることなどから、個人版のような返礼品はないことが大きな違いです。たとえば、地方創生プロジェクトによって公共施設を建設する場合には、寄附を行った企業が専属的に使用したり、合理的な理由がなく低料金で使用できるようにしたりすることは禁止されています。

参考:内閣府 地方創生推進事務局|企業版ふるさと納税

■企業版ふるさと納税の活用のプロセス

地方自治体が企業版ふるさと納税を活用するには、まず、地方版総合戦略を策定します。次に地方版総合戦略をもとに地域再生計画を作成し、国の認可を受けます。そして、企業からの寄附を受け付けるという流れになります。

企業側は寄附先となる地方公共団体を選定して、提案資料などを作成した後、地方公共団体と調整を行ったうえで寄附手続きを行います。

企業版ふるさと納税には、企業が人件費を含む事業費の寄附と専門的な知識を持つ人材の派遣を行い、地方公共団体へ任用、あるいは地域活性化事業を担う団体へ採用される「人材派遣型」と呼ばれる方式もあります。「人材派遣型」も企業が税額控除などを受ける仕組みや制度の利用の流れは同じです。

また、企業側が寄附先となる自治体の地方創生プロジェクトを探す際には、内閣府・内閣官房による「企業版ふるさと納税ポータルサイト」で検索することができます。

参考:内閣府・内閣官房総合サイト|地方創生|企業版ふるさと納税ポータルサイト

■企業版ふるさと納税を活用するメリットとは

企業版ふるさと納税は寄附を行った企業への見返りは禁止されていることから、寄附による直接的な効果はありません。しかし、企業版ふるさと納税の活用には大きく分けて3つのメリットがあります。

1つ目は企業版ふるさと納税を通じてまちづくりを支えることで、CSR(企業の社会的責任)の観点からイメージアップにつながり、認知度の向上も期待される点です。地方公共団体は寄附を受けた企業名を周知することができます。ホームページや広報誌などで企業名を公表したり、感謝状を贈呈したりするほか、施設建設を伴う事業では企業名を記載した銘板を設置することもあります。地方創生プロジェクトに貢献したことが周知されると、地域住民などが寄附を行った企業に対して、好意的な印象を持つことが期待できます。

2つ目として、地方公共団体や関係団体との関係性を構築できることが挙げられます。企業は地方公共団体の事業を共創するパートナーとして、強固な関係性を築けることが期待できます。特に人材派遣型は自社の職員を地方公共団体などに派遣するため、密接な関係性を構築しやすいです。実際に寄附活用事業を契機に、地方公共団体と企業の共同プロジェクトが行われるケースもみられます。

3つ目は新たなビジネスへの活用です。地方創生プロジェクトを通じた地方公共団体や地域住民との関わりによって、地域が抱える課題を知ることで、新たなニーズの発見につながる可能性があります。また、人材派遣型では、地方公共団体での就業経験が職員の成長につながることも期待できます。

企業版ふるさと納税は、企業が実質1割の負担で地域貢献につながる取り組みを行える制度です。企業版ふるさと納税を活用される場合は、税務処理などに関してお気軽にご相談ください。

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