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『フリーランス保護新法』について

目次

税理士法人BlueWorksTaxです。

これから皆さんに定期的に有用な情報を発信していきたいと思います。

早速ですが、「フリーランス保護新法」について簡単に解説します^^

●フリーランス保護新法とは?

契約上不利になりがちなフリーランスを守るための法律です。

現時点では法律案であり、まだ施行されている法律ではありません。

●フリーランス保護新法検討の背景

①フリーランスが巻き込まれるトラブルの多さ

厚生労働省と第二東京弁護士会が協力して運営する「フリーランス・トラブル110番」の情報を参照すると、フリーランスは多くのトラブルに巻き込まれています。特に契約関連のトラブルが多く「契約内容が曖昧である」「極端に単価が低い」などを中心に、「ハラスメントを受けている」「一方的に契約を打ち切られた」などの事例が紹介されている状況です。

この原因は法律が整備されていないことにあると考えられています。罰則規定が明確ではないためクライアント側が無茶な要望を出してしまい、結果として弁護士に相談するトラブルが生じています。このような状況を改善するため、フリーランス保護新法を成立させフリーランスを保護しようとしています。

②フリーランスの急速な増加

内閣官房が2020年に実施した調査によると、フリーランスとして働く人は国内に約462万人いるとされています。副業で働く人も含まれていますが、新しい働き方としてフリーランスを選択する人が年々増えている状況です。

このようにフリーランスとして働く人が増えている状況を踏まえると、上記のようなトラブルは今後も増えていくと考えられます。国としてはこのような状況をいち早く食い止めなければならないため、フリーランスを保護するためにフリーランス保護新法が検討されています。

●フリーランス保護新法の概要

内閣官房が2022年9月に公表した「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」で提示された以下の内容が柱になるものと考えられます。

①フリーランスの取引を適正化し、個人がフリーランスとして安定的に働くことのできる環境を整備する。

②このため、他人を使用する事業者が、フリーランス(業務委託の相手方である事業者で、他人を使用していない者)に業務を委託する際の遵守事項等を定める。

方向性をこのように置いたうえで、事業者が業務を委託する際の3つの義務が明記される予定です。

①業務委託の開始・終了に関する義務

フリーランスと業務委託を結ぶ際は、業務委託等内容や報酬など契約条件について示すことが義務化されます。現在は契約書なしで仕事を受注するフリーランスも多く、このような働き方がトラブルの原因となっています。希望しても契約書が発行されないケースもありますが、フリーランス保護新法が施行されるとそのような状況は改善されます。

また、継続的に業務委託を行う場合には、契約の期間や終了条件、途中解約の報酬なども記載が必要です。現時点では企業側による一方的な解約が認められています。契約期間が長くなる場合は事前に途中解約について定めておく必要があり、契約書などに記載しなければなりません。

加えて、契約を途中解約したり更新しなかったりする場合には、事前予告が必要となりました。原則として30日前に解約を通知しなければならないルールとなり、フリーランス側は唐突に仕事がなくなる状況を避けられます。なお、契約が解除される際には、その理由を開示してもらうように請求できる権利についても触れられています。

②業務委託の募集に関する義務

複数のフリーランスを募集する際は、募集内容が明確にわかるように記載する義務があります。フリーランスにメリットがある部分だけを記載したり、虚偽の内容を公開したりすることは明確に禁止されます。最新の情報かつ、フリーランスが誤解しないような形で情報公開しなければなりません。

また、募集内容に応募してきたフリーランスに対しては、必要な情報を適切に開示しなければなりません。例えば、プロジェクトの期間や毎月の報酬、求めるアウトプットなどを定めておき、フリーランスに伝える必要があります。フリーランスが契約するかどうか判断できるように、細かな部分までも提供することが義務化されるのです。

募集内容が明確化されることにより、フリーランスは「契約してみたら思っていた仕事とは違った」という状況を避けられます。契約書などの交付も義務化されるようになるため、そこに依頼内容を記載しておけば、後からトラブルになる可能性は下がります。

③報酬の支払いに関する義務

事業者はフリーランスに対して、役務などの提供を受けた日から60日以内に報酬を支払う必要があります。現在ではフリーランスに対する支払い遅延が問題視されることがありますが、フリーランス保護新法では支払いについても明記されます。

60日以内に支払う必要があるというのは、下請法など他の法律でも定められています。ただ、フリーランスの働き方は今までの法律ではカバーできなかったため、フリーランス保護新法で保護される見込みです。

<参考>下請法との違いは?

下請法は「下請代金支払遅延等防止法」と呼ばれる法律で、親事業者から下請事業者に対して、不当な扱いが発生しないように制御するものです。業務委託においては、発注する側が優位になる傾向があるため、そのような状況を改善するために下請法が存在しています。

ただ、下請法はどのような業務委託契約でも適用されるのではなく、以下の条件を満たさなければなりません。

・親事業者の資本金が1,000万円超

・下請事業者の資本金が1,000万円以下

フリーランスの場合、自身の資本金は1,000万円以下だと考えられますが、発注する側の資本金が1,000万円を超えているとは限りません。発注する側の資本金が1,000万円を超えていない場合は、下請法の保護対象外となってしまいます。

それに対して、これから施行されるフリーランス保護新法は下請法のように親事業者の資本金について定義されません。フリーランスに対して業務委託契約を結ぶならば、どのような親事業者でもフリーランス保護新法に定められたルールを守らなければならないのです。今まで下請法では守れなかったフリーランスも、フリーランス保護新法の施行に伴い守ってもらえるようになります。

●いつから何が変わる?

フリーランス保護新法は2022年の秋に国会へ提出されて成立する見込みでしたが、内容が詳細に定まらないことから、2022年12月8日に臨時国会への提出見送りが決定しました。その後、法律の内容は見直され、2023年の通常国会で提出とされています。ただ、通常国会の期間は長く、どのタイミングで提出されるかは不明確であるため、いつから何が変わるのか現時点では判断できません。また新しい情報が公開されると考えられるため、その時を待つようにしましょう。

●まとめ

2023年に施行される予定のフリーランス保護新法について解説しました。

発注者側による契約内容の明示、不当な報酬の減額の禁止などが盛り込まれる見込みですが、審議は2023年の通常国会に持ち越されています。今後の動向に注目しましょう!

BlueWorksGroup

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