大企業が特定事業や部門を分離し新会社化する戦略である。資本効率改善や事業集中、非中核事業の売却・独立運営が主な目的となる。組織・業務の切り分けや人員移籍など分離プロセスの調整力が問われる。
カーブアウト(Carve-out)とは?
企業が事業再編で活用する分離・独立戦略を徹底解説
1. カーブアウト(Carve-out)とは?
**カーブアウト(Carve-out)**とは、大企業が特定の事業や部門を切り離し、新会社として独立させる企業戦略です。
完全分社型だけでなく、一部株式の外部売却や上場(IPO)なども含まれることがあります。近年、資本効率の改善、事業集中、非中核事業の売却や独立運営を目的に幅広い業界で実施されています。
2. カーブアウトが注目される背景・主な目的
- 資本効率の向上
 不採算事業や非中核事業を分離し、経営資源をコアビジネスに集中できます。
- 事業集中と経営のスリム化
 本業への選択と集中を進め、グループ経営のスリム化や成長加速を狙います。
- 非中核事業の売却・独立経営
 市場環境や戦略の変化に合わせて、時には第三者(他社・投資ファンド)への売却も選択肢となります。
3. カーブアウトの実施手法と特徴
主な実施手法
- 子会社化(新会社設立・移管)
 分離した部門や事業を新たな法人とし、親会社の子会社とする。
- 一部株式売却
 新会社の株式を外部企業や投資ファンドに売却し、資金調達やリスク分散を図る。
- スピンオフ(Spin-off)やIPO
 完全に親会社から分離し、株式を上場させるケースも。
カーブアウトの特徴
- 複雑な分離プロセス(組織・業務・人員・資産などの切り分け)
- 新会社の経営基盤構築が必要
- 関連する法律・会計・税務対応も慎重に進める必要あり
4. カーブアウトのメリット・デメリット
メリット
- 親会社の資本効率や収益力が向上
- 新会社が独自の経営判断・成長戦略を描ける
- 事業売却による資金調達やグループ全体のリスク軽減
デメリット・リスク
- 分離作業による一時的なコスト・業務負担増
- 人材流出や組織の混乱リスク
- 新会社の経営体制が不安定になるケースも
5. カーブアウト成功のポイント・課題
- 組織・業務・資産の明確な切り分け
 利害関係者(従業員・取引先など)への丁寧な説明と合意形成が必須です。
- 人員の円滑な移籍・処遇設計
 移籍対象者のキャリアやモチベーション管理が極めて重要です。
- 安定した新会社の経営基盤・運営体制
 分離後のオペレーションや財務、ITインフラ等の整備が求められます。
6. まとめ
**カーブアウト(Carve-out)**は、大企業が事業再編や経営資源の再配分、本業集中を進める際の有効な選択肢です。組織・業務・人員の分離調整や新会社の体制整備など、実務上も多くの課題と向き合う必要がありますが、将来的な競争力強化・持続的成長に繋がる注目の戦略です。
カーブアウトや事業再編のご相談はお気軽にお問い合わせください。
Supervision この用語の監修者
										慶應義塾大学経済学部在学中の2006年、公認会計士二次試験に合格。2007年、あずさ監査法人に入社。
入社後10年超に亘り、IPO部門、パブリックセクターにて主に監査、IPOアドバイザリー等に従事
2018年よりオリックス事業投資本部にてPE投資(ソーシング、オリジネーション、エグゼキューション、PMI、Exit)に従事。
2020年以降は、複数の投資先役員として、投資先支援に従事。2023年末、主要支援投資先をExit。
2024年、Blue Works M&A㈱ 設立									
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